送りたかった宛先、へ
あなたと別れて、数年後に気づいた想いです。
離れてから、漸く気づきました。
私は貴方の事が、ずっと好きでした。
当時の私は、初めてできた恋人に舞い上がってた。
まさか、私を「好きだ」といってくれる人がいるとは思わなかったから。
今までこんなにも、私を大切に思ってくれる人は初めてで、とても嬉しかった。
とても、幸せだった。
だから。
とても、苦しかったんだ。
私は自分に自信がなかったから。
私は学生で。貴方は社会人。
そして遠距離。
いつも仕事や人間関係で疲れていた、貴方の負担になりたくなかったんだ。
年上の貴方に釣り合う人になりたくて。
ただでさえ子供っぽいから、尚更我が儘で困らせたくなかったんだ。
時間が合わないのは、仕方ないことだし。
少しでも長く時間を合わせてようとしてくれるその気持ちだけで、すごく幸せだった。
だから、いつも笑ってて馬鹿なことをしている反面、とても傷つきやすくて寂しがり屋の貴方を、少しでも支えてあげたい。
私の感情よりも、貴方の感情を優先させてあげたい。
そう、思ってた。
貴方に合わせることが、一番なのだと。
本当は、貴方はそんなに弱くなかったのにね。
私が素直になれなかったから、不安にさせていたんだって。
後になってわかった。
何もない時に涙が溢れた。
どうしようもない、壁が苦しかった。
寂しいと、そう伝えてしまったら、困るだろうと思っていた。
それから、気持ちを押さえすぎて。寂しい気持ちをずっと抱えたままで。
暫くしたら、自分の感情がわからなくなった。
溜まった感情をどう表現したらいいのかも、わからなかった。
涙だけ、溢れて苦しかった。
好き。大好き。離れたくない。傍にいて。寂しい。
貴方に伝えたい。でも伝えられない。
何度も
「言ってくれなければ、わからないよ。」
「一人で抱えこむな。何でもないなんて言わないで。不安になるよ。」
「言いたいことを言うことは、我が儘じゃないよ。頼って」
そう、言ってくれたのに。
呆れられることが、怖くて。何より、自分が何に対して不安を覚えていたのか分かっていなかった。
自分の暗い部分に触れられることを、知らず知らずに避けていた。
あの時ね、苦しかった過去がぶり返してきていたの。
まさか過去の出来事なんか、重たい話をして困らせたくない。そんな気持ちを抱えていた。
自分の中に、たくさんの思いを溜め込んでいた。
そうしている内に、
どうして、私を好きでいてくれるのだろう。
私は貴方を本当に好きなのだろうか。
自分の気持ちに疑いを持った。本当は好きと言われたから、好きなのだと。
そう錯覚しているだけしゃないのか、と。
一人で考えていた。
心配してくれてる貴方に、何も言わずに。聞かれても、当たり障りのない言葉ばかりを返していた。
あなたを大切にできなかった。
「甘えて、もっと頼って」
そう言われてもどう甘えたら、頼ったらいいのかわからなかった。
甘えるってなんだろう。
頼るってなんだろう。
もっと自分の想いを伝えられたらよかったのにね。
自分と向き合う覚悟が足らなくて、結果として貴方を苦しませた。
ごめんね。
私が貴方を支えたいと思う気持ちと同じように、貴方が私を支えたいと思っていた事に気づかなかった。
離れてから、息苦しさを感じて。
初めて気づいた。
当時の私はただの聞き分けのいい子で、あなたの恋人ではなかった。
支え合う関係には、なれていなかった。精神的な隔たりを作ってたのは私だった。自分をさらけ出せてなかった、その結果なんだって。
…まだ好きなんだ。
本当は、あなたの傍にいたいの。離れたくなかった。傍にいたかった。あなたのことが好きでたまらない。
ごめんなさい。あなたのことが、好きです。
あなたの笑顔が好きです。
少し頼りなくて、情けなくて格好悪いあなたが好きです。いつだって気持ちを真っ直ぐ向けてきたあなたがとても大好きです。私と真正面に向き合ってくれたあなたが大好きです。
大好き、でした。
あれから、数年たちました。
あなたは、今いかがお過ごしでしょうか。
私は相変わらず不器用で、手探りながらも前に進もうとしています。
部屋の片付けをしていて、箱を見つけました。
何の箱だろうと手にとって、大切なものだったと気づきました。ここ数年、心の中にあいていたものがなんだったのか。
同時に、あなたから貰った手紙やたくさんの贈り物を、泣きながら手放したあの日の思い出が蘇りました。
まだ伝えたかった言葉が、残っていたことにも気づきました。
あなたに、
伝えたい言葉があります。
恋愛は二人でするものと、学ばせてくれてありがとう。
人を愛することを教えてくれて、ありがとう。
たくさんの幸せをありがとう。思い出をありがとう。
あなたは、私には勿体ないくらい素敵な人でした。
次に恋をする時は、自分の感情も大切にします。
最初から最後まで自分勝手で、振り回してばかりでごめんなさい。
あなたに会えて本当によかった。幸せでした。
今の貴方が笑顔で、幸せでいることを祈ってます。
白春