誰かに求められる。そんな大したものではなくても、自分のしらないところで、感情をもたれていることはきっとたくさんある。
たとえば、このあいだ。
予定の前に身なりを整えるため、駅のお化粧室を使っていたときのこと。お掃除のおばさんが声をかけてくれて、少し話した。
「笑顔がすてきねえ。大変だろうけど、その笑顔なら大丈夫よ。」最後にそう声をかけてくれてさよならした。
わたしはたぶん、この一言を忘れないと思う。顔はもう思い出せないけれど、やさしく、わたしよりもっともっと何倍も素敵な笑顔で声をかけてくれたことは忘れないと思う。
おばさんは、わたしがこんなに感謝していることなんて知りもしないだろうけれど、思ってもみないだろうけど、とてもとても感謝しているのです。
こんなこともある。
友人がずっとがんばっていたことが叶って、おめでとうと声をかけたときのこと。
「あのときアドバイスしてくれてありがとう」と言われた。本当の本当にたいしたことはしていなかったから、あなたの実力だよーと声をかけたら、
「本当に感謝してるんだよ」と言われた。
全く気づいていなかったけれど、その人はわたしに感情をもってくれていた。
そんなことがあって、とても嬉しかったのです。
誰かに求められる、なんて大それたことは難しいかもしれないけれど、小さなことで人は人にたくさんの感情を持っている。
きっと気づかないだけなんだろうと思う。
わたしもあなたも、思っているよりもっと、ずっと多くの人に、感情を持ってもらっているのかもしれない。
意味のないことなんてないのかもしれないね。