いくつか年上の君
砂浜の足跡を消してくれ
波は引く
届かない場所の足跡
沢山の人が読んでくれたら
赦されたような気がするんだ
君の言葉は重すぎて
僕には重すぎた
潰れるって君が笑って
お前じゃだめだってやんわり
否定されて
はっきり突きつけられた
この一言も
とても胸の奥に沈んだ
沈んで
君が泣いてる今
だからもう居ない
居なくて
君も来ないから
揺れる波に
波打ち際がある
気持ちの波打ち際を
君がなぞった
指で
はっきりとして
ゆるやかで
それはごく平凡な曲線で
誰のパズルにでもはまる
君が泣く間にパズルを作った
ごめん気付いた
これは君が作ったピースでなく
僕のだ
大切な人を亡くして
君が泣くから僕も泣きたくて
泣けなくて自分に気づいた
泣かない
人が死ぬこと
なんと理不尽に唐突に死ぬのか
言葉が出なかった
触れようもなく君には
当たり前のことを話して
当たり前に過ごして
そんなことは君に無理を強いて
当たり前に会えなかった人が
理不尽に死んでしまって
そんな君にはなんと言うべきか
人を亡くした数なら僕が上だけど
なにも言えなかった
だって僕は君の言葉じゃ
励まされなかったんだ、あの時
君は優しいと思った
でも違う
言っちゃ駄目なことを
振り回すのは僕だけど
いざ籠から放つのは君だ
僕も放たれた
君の言葉に当てられて
籠が揺れた拍子に逃げたくなった
いっそ逃げてやろうか
完成しかけたパズルは
君がいない間にこっそり作った
君のじゃない指紋と
指の跡がくっきり残って
それが汚くて夢もなくて
嬉しかった
心地よかったんだ
文学気取りの上っ面だけのパズル
と、君と作ったもの
君の写真
砂浜に好きな花を刺して
刺して枯れるまで見つめたい
葉が少ないからよく刺さる
綺麗
真っ赤な花が僕を救うはず
そう信じてそれを崇め続け
その先にあるのは何物か何者か
はたまた何もないのか
馬鹿げたこと
汚い事言葉でカモフラージュ
言葉さえ汚いように隠す隠す
段違いに綺麗だと隠れない
心底深い醜さ
知性から出る色気
貪欲さで得る知性
なんて聞いたから本を読み漁る
僕の色気がもし君に通じたら
夢見てもいいかな
本当は
会いたいひと
新しいパズルの共に発見者
好きだって笑う
君が僕を責めるのか
僕が僕を責めるのか
摩訶不思議
水なんて要らない
しょっぱい水なんてこせばいい
僕はそんなの飲まない
指先の砂は君が舐めてくれ
僕の指じゃない
君のだろう
そうか最後
僕が君が好きで終わるんだ
それでいいのか
波うって波うって飽き足らず
頭の足りない君に嫉妬して
頭の足りない君を愛して
いつか馬鹿に気付いて
こんな恋文は流せるようになれば
大人になれたのかもしれない