かわいくない、私の話。
子供の頃、
外食に出かけた時、
いつも値段を見てメニューを頼んでいた。
別に貧乏な家庭じゃないよ。
ただ、何故か遠慮してた。
子供ながらに。
誕生日やクリスマスのプレゼントも、
いつも値段で決めていた。
子供ながら数の少ない方が安い事を、
何故か知っていたから。
もうボロボロの服や物を、
「気に入っているから」って言って、
使い続けてた。
何かを決める時、
事前に相談とかしたこともなかったな。
いつだって、自分で決めてきた。
明るい話や楽しい話しか、
それも当たり障りのない程度にしか話さない。
悲しいことや嫌なことなど、
話したことはなかった。
なぜだろうね。
ものすごく気を遣っていた。
実の親なのに。
たくさん愛情もかけてくれてたし、
どちらかというと恵まれてる環境だ。
そんな子供時代。
記念日でも何でもない日に、
父親と行ったデパートでの出来事。
大きな犬のぬいぐるみ。
思わず足を止めた。
子供だからね、
やっぱりぬいぐるみには惹かれるのよね。
私が急に足を止めたから、
当然父親も止まった。
「欲しいの?」と父親が尋ねる。
私は「別に欲しくないよ」と言う。
「これ1000円だって。安いよ。買う?」さらに父親は私に聞いてくる。
それでも私は「いらない」と答えた。
父親は笑ってその大きな犬のぬいぐるみを持って、レジに向かった。
その後の記憶は残念ながら、ない。
帰りの車の中で、
私はどんな顔をしてたんだろう。
父親とどんな会話をしたのだろう。
ちゃんとお礼を言ったのだろうか。
今でも、その大きな犬のぬいぐるみは
変わらず私の部屋にいる。
唯一捨てられない、捨てたくない、
気づけば宝物になっている。
もう25年くらい前の出来事。
すごく嬉しかった。
すごくすごく本当に嬉しかったんだ。
この大きな犬のぬいぐるみを見ると、
なんだか泣けてくるのは、
あの頃のなんとも言えない気持ちが、
この大きな犬のぬいぐるみに詰まってるからだろうか。
素直じゃない、
かわいくない、私。
こんな子どもで、
両親は何を思っていたのかな。
かわいい娘じゃなくて、ごめんね。
名前のない小瓶
48654通目の宛名のないメール
お返事が届いています
ななしさん
似たような経験が私もあります。
外食ではいつも安いものを選ぶし欲しいものがあっても甘えられず
私も同じような経緯でぬいぐるみを買ってもらってとても嬉しかったことを思い出しました。
同じような経験を持つ方がいるんだなと思い共感し泣いてしまいました。
ななしさん
私も外食で値段気にしてた
妹は欲しいものガンガンねだって買ってもらってた
末っ子は強いなーと思いました
ななしさん
超貧乏だから今ももの買う時値段で決める
大学は学費も定期代も一番安いところ
高校、大学特待で入って入学金授業料免除
飯は二週間削るなんて当たり前
家賃2万弱ボロ団地に共同生活
私は可愛くないんだろうか
ななしさん
あなたの気持ちを、言わなくても分かってくれる人がいる。
それは、とても幸せですね。
まりちゃん
親って、働いているって、
(どっちも)
「かわいそうなひと(こと)」じゃないよー
冬
もう覚えてないくらい前のことなら、前世からのねお約束として、今回は来たのさ、お値段安い方買う実行委員としてさ。
わからないけど、その方が気持ちの中できっといいことがあるのよ、自分にとって気持ち的に得だと思える何かがね。(お金が手元に残るって意味じゃなくてね)だからそうするのよ。
それがなんなのかは主さんしかわからないんだけど、このぬいぐるみのわんちゃんは主さんにとってどんな象徴なんだろね。
私にはあなたのありのままな気がするんだよね。しかもそれを受け入れてもらえたことの喜びの象徴。
25年も変わらずそばにいるのなら、そしてそのことを宛メで小瓶に詰めて送ったのは、素直でいたくなったのかなーと勝手に解釈。
いいお父さんだね。
ななしさん
覚えてないくらいちーさい頃になにかあったのかな。
床に転がって駄々をこねられるのもそれはそれで困るし、気を遣いながらも隠しきれてない辺り可愛いもんよ。
ぬいぐるみ大切にね!
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。