父親はいない。
幼少の頃から、母から嫌われるのが
怖かった。怒られる、叱られるのも。
僕はいい子を演じた。
何が良いことか悪いことかなんて、
どうでもいい。
とにかく、母に怒られそうと思ったことは、できる限り抑えてきた。
たとえ、イジメやイタズラをしてきた
ガキどもをーしてやりたいと思っても...。
それでも、子供特有の好奇心からくる
衝動は抑えられず、
異常な行動を起こしては、
怒られる、叱られる。
そして泣く、ふて腐れる。
その繰り返し。
小学生の頃、なんとなくやった万引きがバレて、母はかつてないくらい怒った。
僕は頭が?目の前が?真っ白になった。
その白さは、まるで銀世界のようで、
息苦しかった。
それ以来、(いや、きっとそれ以前から)
僕に残ったのは抑圧のみ。
自立心ゼロ。
母から褒められても何も感じない。
お母さん、こんな僕を育ててくれて、ありがとうございます。
あなたがいたおかげで、僕の中に狂気を宿しております。
きっと、あなたと僕の間にできた子でしょう。
あなたが生きているうちに産まれないことを、切に願っております。