きっと叶わないことや
敵わないことが多いけれど
生きてることは
叶わないことだと
敵わないことだと
さよならだけの人生の
色々な終わり方だけを
何度もシュミレートして
何かの答えの分かったような
そんな気がしていた
優しいだけの僕たちは
これまでの足跡の下の全ての花を
忘れられなくて
これから先の航路の先にだって
僕たちを歓迎する港なんて
あるわけ無いと思っているけど
届かなかった思いとか
果たせなかった約束とか
消したい時間の足かせが
そうさせている
人生の始まりにはきっと
少なくともその始まりにはきっと
見えないものの祝福があった
その始まりには愛があった
その始まりには希望があった
やがて魔法が解けてから
愛されなかった人や
守られなかった人がいる事を
僕たちは知っている
意味なんて無いからと
それでおしまいにしないでほしい
未知なる道を進む事を
怖く無いなんて強がらないでほしい
彷徨い悩む事は
0点じゃないと気づいているか
怯えながら選んだ事が
上手くいかなかったとして
負け続けていても生き延びている事が
どれほど難しいことか分かっているか
残酷さに涙を流しながら
暖かさを捨てなかった事が
例え報われなくても回り回り
いつか誰かに差し伸べる手になる事を
君は気づいているか
存在否定の線路に乗せられ
不正解の落款を押されても
新しい時間と場所では
誰からも解読されない程度のものだ
外せないはずだった足枷は
涙の塩水ですっかり錆び付いている
あてどなく彷徨う事を
怖がらない人などどこにもいない
今日と同じ明日が来ないのは
悲しいだけじゃない
有限の時間だからこそ与えられる
欠片ぐらいの勇敢さを握りしめ
誰もが船を漕ぎ出している
才能と努力の果ての成功とか承認を
人生の意味とするよりも
不確実で深く深い可能性の海で
沈みかけながらでも進んでいる事を
今という一瞬を切り取る事が出来て
今という一瞬が二度と訪れない事を
生きる事だと定義できたのならば
それは誰だって生きているという事で
積み重ねられる瞬間の軌跡とは
人生と呼ばれるものであって
過去や過ちの全ては
これからの世界のどこにも
本当は存在していなくて
人は本質的に限りなく孤独で
だからこそ誰だって繋がりたくて
何一つ見出さずに
何一つ見出されずに
どこまでもゼロに戻って
起こるかもしれない事を
今までの選択からの
今までの瞬間からの
確かにある祝福を、
いつか赤子を腕に抱くことができたなら
いつか人生をかける何かを見つけたなら
いつか見る夕日が美しいなら
いつか綺麗な絵が描けたのなら
いつか病が治ったのなら
いつか空を飛べるのなら
いつか雲が晴れるのなら
いつか願いが叶うのなら
そういういつか起こりうる事を
祝福と呼べるのなら。
凌ぎきったその先の
明かりを信じる事ができるなら。