人生は続いている。ある日突然切れてしまうのだとしても今はまだ続いている。この前の休みの話をしたい。一人旅で

例えば今日の仕事が
ちっとも終わらなくて
ようやく帰れたら
エアコン付けっぱなしだったら
君は笑うかな？

例えばおばあちゃんの具合が
だんだん悪くなってきて
今年が最後の夏かもしれないとしたら
どんな顔したらいいかな？

例えばテレビをつけて
明日も暑くなりますなんて
今日も暑かったでしょって
誰だってそう思うよね？


人生は続いている
ある日突然切れてしまうのだとしても
今はまだ続いている


一度だけSNSでやり取りした人が
自分から命を絶ってしまった事
その死んだ意味を今でもずっと
その母親が考え続けている事
友達でも無いのに時々思い出したりして
僕はただ悲しみに酔ってるだけ？

偶然がいくつか重なって
ご飯を食べたり出かけたり眠ったりして
目を覚ますと隣で誰か眠っていることに
とても嬉しくて心が暖かくなる事
どうやったら伝えられるだろうって
時々考えてるの気付いてますか？

良いことと悪いことの全てを
愛していくことなんて出来ないし
暖かくなっていく地球と
冷え込んでいく未来を前にして
生まれたり死んだりすること
止めることなんてできないとしても


僕はまだ生きていたいと思う
それに根拠が何一つないとしても
僕は明日を生きていたいと思う


歪な場所で言うことを聞くだけで
お金がもらえるシステムと
誰かに全部押し付けていけば
机が広くなるシステムに
身を任せるのが本当に正解？

あのバンドの新譜を心待ちにして
ギターとベースとドラムがずっと
耳から離れないから
３か月先のカレンダーに〇をしている
休暇申請の準備はOKですか？

幾つもの夢を裏切って
幾つもの希望を横切って
誰かの願いを叶えられずに
ただ想いを背負うことしかできないとして
這いつくばっていたい訳じゃない！

傷つきたくなんてない！
傷つけたくなんてない！
傷つけるところなんて見たくない！
当たり前だ！

大したことはないからって
泣くほどじゃないからって
諦めるな
決められるな
自分ぐらいはせめて自分ぐらいは
涙を許してやれ
そしていつか自分で拭ってやれ

言葉に出さなくても
信じられなくても
仲間がいればそれでいいし
仲間がいなくてもそれでいい
悲しみは涙で躱して
虚しさは襟を立てて凌ぐ
太りたくはないから食べ過ぎないで
でもたまにはアイスクリーム買って帰りたい
溶けないうちに召し上がれ


幾つもの幾千もの道が飛び交っていて
すっと先まで平行線の道だとしても
今この瞬間から遠ざかっているのだと気付いても
君は幸せですかと尋ねたいんだ
別に幸せじゃなくても構わないけど
この手紙は君に向けていて
手を振る代わりに書いている
それに気づいてるかな？


突然だけどこの前の休みの話をしたい

一人旅で美味いご飯食べて
人生初のレイトショーを見て
安いビジネスホテルでぐっすり眠る
次の日は早起きでチェックアウト
バスと船を乗り継いで小島に向かった

ちょっと前に買ったデジカメ片手に
街とか海とか家とか撮ってたら
車の下から野良猫がやってきて
にゃーにゃーと僕に向かってきて
屈んだ膝に我が物顔で乗っかった

お腹から伝わる鼓動と体温
撫でてわかる柔らかさ
飽きたら飛び降りてまたどこかに向かう猫を
ふと写真に収めた
帰りに食べたラーメンも美味しくて
新幹線なら夕方に家に着く

そういう休日だった

僕は思うんだ
生きているってこういう事だって


どこに向かうのか誰にも分らないけど
どこかにたどり着けるのならそれは旅路であって
何も手に入らなくて疲れただけでも
思い出せることがあるならそれは冒険であって

閉ざされた部屋の中でも
人は物語を描くことができて
許されない罪を背負ったとしても
人は愛し愛されることができて

時間の長さではなくて
持ち物の多さではなくて
背の高さでも友達の多さでも無くて

体を支える芯のようなものが
まだそこにあるなら

ほんとうは足元に道なんてないことに気付いても
それでもいいさって強がって
暗闇を照らすほんとうに明るいものは
魂の光だって信じ切って

君は歩いていく

僕も歩いていく