少し前にこんな夢を見ていた。暖かい浅瀬を渡り、珊瑚を砕いた砂浜のさらに向こうの、誰もいない場所で、明日のことを考えながら眠る夢だった。温い泥の様に安らかで、死んだようでもあった。
私は人の無気力に荒んだ目が嫌だった。自身のみの色を渇望し、脱出を常に求めがんじがらめになっている。そういう人たちの絵はもれなく苦しみが満ちている。
それは自我を心から信じられない私のことでもある。絵とは、人が抱く理想の数だけあるもの、自由なものだ。一見それは理想的に映るだろうが、それは軸がないとも言える。本質の本質を追おうとし、ウロボロスが自分の尻尾を飲みそびれ、子犬のように尾を追ってぐる〳〵と回り続けている。
それもこれも、きっと全て私が心から納得を得るためなのだ。他きっともなんらかの理由があるから、こんな事をやっているんだろう。この無間地獄じみた空気を押し隠す様に、彼らは肩を並べているように見えた。