自分が、あまりにも、最低。
元々私には、今まで経験したことのないほど深く深く好きになった人がいた。
これまでの「好き」なんてすべて偽物だったんじゃないかと思うくらい、本当にどこまでも好きな人だった。
頭を、頬を撫でられた。
泣いてしまった時には抱き寄せられた。
好きとは言われなかったけど、好きでたまらないみたいな、そんな顔をして私の名前を何度も呼んだ。
ある日、その人に彼女がいたことを知った。何度も何度も問いつめて、やっと本人が口を開いた。私のことは本当に好きだったと言われたけれど、そんなの今更言われてもどうしようもなかった。
諦めなきゃいけないと思った。この気持ちは捨てなきゃいけないと思った。でも無理だったからせめて蓋をした。
相変わらず優しくしてくるその人を横目に、何とか背を向け、気がついたら他に好きな人ができた。
何度も2人でデートをして、たくさんたくさん好きを伝えた。その人と未来の約束を数え切れないほどにした。
私は、てっきり、本当にその人を好きになれたのだと思っていた。
でも違った。この間友達と遊んだ時、偶然前好きだった彼と歩いた道を歩いた。
歩道の狭さを見て、抱き寄せて歩いてくれたことを思い出した。
並ぶ飲食店を見て、何を食べるか一緒に話したことを思い出した。
もう、その時には、彼のこと以外何も考えられない自分がいた。
蓋をしただけの感情は、少しの揺さぶりで簡単に蘇った。でも、もう、後に引けないくらい今の人との関係を作ってしまった。彼を忘れようとして言い聞かせるみたいに伝えた好きを、打ち明けるなんて今更できない。利用したんだ、私は、彼を忘れられないからって、その人が私を好いてくれているからって。
それに気づいてしまった今、どうしようもなくなっている。周りの人に何度も言われていたのに。「本当に忘れた?本当にその人が好きなの?」。自分が何とか傷つかずに済むように、心優しいその人を利用して、後になってやっぱり忘れられないなんて、そんな都合のいい話あっていいはずがない。
もう、好きなんて言えなくなってしまった。毎日のようにしていたお誘いも、別にしたいと思わなくなった。抱きしめて一緒に寝るくらい好きだったはずのその人の香りがついた洋服も、何だか嫌な香りだと思ってしまう自分がいる。
好きなふりを続けるべきか、理由を話さず離れるか、全て話して離れるか。
どうしたって傷つけてしまう。あんなに私を大切にしてくれる人を、私は私の手で傷つけてしまう。文句ひとつ言われないことは分かっているから、飲み込んでしまうことは分かっているから余計に言えない。
大切に大切にしてくれる人より、私を2番目に置きたがるような人を追いかけてしまうのはどうしてだろう。
ななしさん
別れは少なからず皆んな辛いよ。
たださ過去の思い出に浸ることは出来ても、過去のことを現在進行形の今にぶり返して現在に置くことはできない。だから皆んな過去の思い出を美化はしても追いかけない。
綺麗な思い出として記憶されるの。
その思い出に浸った瞬間に、あの頃に戻ってあの人と…って感じてしまうのは人間のサガだから。どれだけ時間がかかっても人間にはいずれ忘れてしまうことがある。
いつまでも、あの人は…と想いを馳せていても、あなたはまた違う人をいずれは好きになれるときが来る。
まだ過去にとらわれてしまうのは、あなたが繊細っていう事実と、まだあなたが広い視野を持って生きていないから。
視野が恐ろしく広い人は恐ろしいぐらい優しく、恐ろしいぐらい残酷だよ。
あなた、過去のことなんか気にしないぐらい自由に自分のしたいことしながら生きてみませんか?
過去なんか忘れちゃうぐらい。