私はミックスバーで働くLGBT当事者。でももう、働き先に幸せが見出せません。応募した理由は単純で、自分のセクシャリティを隠さず

私はミックスバーで働くLGBT当事者。
でももう、働き先に幸せが見出せません。

応募した理由は単純で、
自分のセクシャリティを隠さず働きたい
LGBT当事者たちと、
それを理解してくれるお客様をもてなしたい

それだけのことでした。

セクシャリティを隠して生きるのは辛い。
結婚の話、セクハラ、女らしさ、そしてセクシャルマイノリティの批判や偏見の話。
世間は私がストレートだと思っているから、人々は平気で投げかけます。

LGBT当事者たちと働けたなら、そんな苦しみを味わう必要もなくなる。
そう思っていた。


でも現実は違った。
ミックスバーって、新宿二丁目にあるガチガチにゲイミックスもしくはレズビアンミックスの、本当に当事者が来るイメージだった。

場末のそれは違いました。
いわゆる、「おかまバー」「おなべバー」です。

確かに、働く仲間はLGBTばかり。
だけど、お客様は常連さん以外大体怖いもの見たさの冷やかし客です。
綺麗なニューハーフのお姉さんがいます。
一番人気です。

なんで人気なんでしょうか？
勿論お話が上手でどんな場でも盛り上げます。
でも、それ以前に
"おかま"だからです。

「おかまは簡単なのよ。最初から馬鹿にされてるからそれを広げていけばいい」

お姉さんは戸籍も女で、性別適合手術も受けていて、心身共に女なのに、声が男なだけで
「ストレートが求める"オカマ"」
を演じて茶化されて毎日を生きている。
おかまだから面白いこと言えるんだろう？
に応えて営業してる。

それがつらいか、何とも思っていないか私にはわからない。
お姉さんは水商売のプロでプライドを持っているから、小娘の私にわかるはずがない。

でも、私は聞いてて悲しくなってしまった。

"オカマ"を高いシャンパンに変える姉さんはすごい人だ。やり手で、自分の売り方を把握していて、お客様をいい気分にさせて財布を開かせる。持ち前のトークで何万もするシャンパンを入れることができる。
たしかに、本当に、本当にすごいんだ。
でも私の求めていたのはそういう世界じゃないんだ。


姉さん以外の私を含めた「生まれつき女の体、男の体を持つセクシャルマイノリティ」は馬鹿にされるよりか、気持ち悪がられたり、邪険に扱われたりすることがある。
また、女の私は主に男の優越感のために平気でブスと罵られたり(これはキャバクラとかでもあるよね)
レズビアンと告げてもなおセックスを目当てに迫ろうとする男にもたびたび遭遇する。
男性スタッフはゲイというだけで気持ち悪がられたりオネェ言葉を強要されたりするし、おこげのステータスにされてる。


なんだ？これ。
何が幸せでみんな働いてるんだろう。
従業員の誰か一人でも幸せなの？


この世の偏見の塊を見ている気がする。
偏見にまみれたくないから逃げてきたのに、
今まで味わったことのないぐらいの偏見を味わっている。

これは、今までみたいにセクシャルマイノリティを隠してストレートとして生きていくほうがよっぽど幸せじゃないか？


今はお金のためにやるしかない。
でも、本当は今すぐにでも飛びたい。
私には姉さんほどしたたかに生きていけそうにありません。
私が自由になれるのはいつなんだろう。

ごめんなさい、小娘はプロにはなれませんでした。差別されることをウリにできませんでした。ごめんなさい。

私にきっと、2ヶ月目はないです。
先に言っておきます、姉さんたち、兄さんたち、本当にありがとうございました。