烏羽
「諦める」という事を諦めきれていないぞ。
そして、「自分の人生を諦める」という事も、全てを諦める人生を行おうとするあまり、叶おうとしてはいない。
それは、「自分の意思を諦めない」という事に他ならないからだ。
…まあ、単なるジョークだよ。
でも、見落とすなよ、人間なんてのは不完全な生き物だ。
何もかもが、誰しもが、中途半端なまま死んでいくものだ。
だが、それは同時に、人間の向上に、いつ何時の終わりなどないという事でもある。
完璧な人間なんて存在しないが、もしそんなのがいるとしたら、生まれた時から終わっているって話さ。
…それを知った上で、覚悟を持てよ。
例え見ず知らずの誰かが、あんたが自殺しちまうかもしれない事を止めたくても、あんたの意思だ。止まってくれやしないだろう?
この先の未来、何か良い事が待っているかもしれない、なんて、保証は出来ないし、保証があるなら俺も欲しいくらいだ。
悪い事が起こる事も十分あり得る。そしてそんな事の保証はまっぴらだ。
まあ、もし先を生きるにしろ、そうじゃないにしろ、何にせよ、それなりに覚悟は必要だろう。
あんたが、丁度いい具合に完璧じゃない事を祈る。
ゆっくり休んで、ちょっと気になった事でも、楽しい事でも、好きな事でも、何かしらやってみたらいいさ。
今までのあんたの人生には、お疲れ様なんて言わんぞ。
死んでどうなるのかも、解りやしない。
ただ、解るような気はする。
もしかすると、心に溜まったような、何か、この、重たいとでも言えるようなものを、あんたも感じているんじゃないか?
休んでも休んでも癒えない、この重たい何かを。
もしそうなら、生きている内に、少しだけでも軽く感じられるか、感覚を忘れられる時間を増やしとけよ。
それは、恐らく生きている内にしか出来ない事だ。
どうすれば解らないなら、探してみろよ。
人それぞれ軽く感じられるかどうかが違うから、色々試してみないと解らないだろうがね。沢山ある筈だ。
もう何か、興味のあったような音楽は聴いたか?
漫画や小説、図鑑なんかの本は?
ちょっとした公園で、草木を眺めるのもいい。動物園や動物と触れ合える場所があるなら、そういう場所へ行ってみてもいい。
俺の場合だが、紙飛行機を色んな折り方をしたり、自分でオリジナルのものを作ってみたり、ちょっとハサミで羽の部分を切ってみたりと、どんな飛び方をするのかとか、飛ばないのかとか、色々試してやってみてたのも面白いと思う。
(まあ、それをやって楽しくない事もあるだろう、出来ない状況もあるだろう、他にも人それぞれ好みやら合う合わないある事だし)
少しでも安らかに、心休める時間が増えてくれればいいな。