こんにちは、こんばんは。
生きていますか?死んでいますか?
生きていたら…私の事は覚えていないよね。
死んでいたら…この手紙は読めないかもしれないね。
これは、生死のわからない、君という子へ送る手紙です。
ずっと不思議に思っています。
ねぇ、君は幽霊だったの?生きているの?
あの科学博物館の体験ブースで、一緒に遊んでくれた君。
「遊んでくれてありがとう」と言って、居なくなった君。
私は君の事を一つも覚えていない。
顔も、声も、見た目も、何もかもがわからない。
父さんが教えてくれた事しか、わからない。
それは君も同じかもしれない。
だって、その思い出は、10年以上前の事だから、忘れてて当然の事。
もう2年以上前に、あの科学博物館の体験ブースに行ってみたけど、あの場所は既に変わってしまった。
私は悲しかったよ。
だって、また行ったら、君に会えるかもしれない。
私が覚えている最後のものは、君と遊んだあの体験ブースなのだから。
下らない事だけど、泣きそうになってしまったよ。
もっと前に行けば良かったな。
ずっと後悔してる。
小学生の頃に買ってもらった、「博物館の一日」を、捨ててなくて良かった。
君という存在は感じられないけど、君と一緒に遊んだ場所は、しっかりと描かれている。
消えてしまったあの場所が、本を捨てるまでずっと残ってる。
君と私はどちらも今を生きていようと、絶対に会う事が出来ない。
私は君の事を本当に忘れてるけど、君は覚えてるかもしれない。
けど、昔と今は違う。
10年以上の時が流れてるから、違ってて当然だけど。
敬具 君を忘れてしまった私より