私には大学生の子供がいます。一人っ子です。
個性を大切にする子育てを推奨され、
色々な物で満たされた現代の子供達の特徴通りでのんびりしている我が子を見ていると、
苛立ちを覚えてしまいます。
理由は分かっているのです。
私はベビーブームで同学年の子供の人口が多く、何をするにもいつでも競争になり、ガツガツ・セカセカと気を張り詰めて生きてきた事。
それから無意識に自分の子供時代と比べてしまい、心の奥底に、「あなたはこんなに恵まれているのに。」という気持ちがあるからです。
私の父は普段は陽気で楽しい人だったのですが、何か気に食わない事があると突然豹変し、母だけではなく私も小さい頃から、叩かれ、殴られ、蹴られ、投げ飛ばされ、物を投げられ・・・。
ネットも携帯電話も無く、離婚も珍しく、DVは家庭内暴力と言われていた時代。
両親は私が中学生の時に離婚しましたが、母と私は命からがらという感じでした。
そして高校3年生の時。
担任の先生が大学受験を勧めてくださいましたが、母子家庭になり我が家の家計は厳しく、当時まだ色々な知識の無い私は先の事まで考える事もせず、母を助けたい気持ちだけで大学への進学を諦め、高卒で就職しました。
その事を、いまだに引きずっているのです。
どうしてあの時、大学へ行かなかったのか。どうして・・・。 どうして・・・。
アラフィフになる、今でも。
子供には自分のようになって欲しくない思いがあり、自分なりに精一杯子育てをしてきました。
父から暴力を受けて育ったので、同じように子供に対してカッとなった時には自分も父のように手を出しそうになるのを必死で堪え、問題点をきちんと理論的に言葉で話し、理解させる。
親になった人なら当たり前の事だと思われるでしょうが、ずっと親にその時の感情や八つ当たりで育てられた私にとって、その作業は本当に死ぬ思いでした。
有り難い事に、子供は健やかに、皆さんに可愛がって頂ける人間に育ってくれました。
でも、私の心の奥底では子育てしながらもずっと、「あなたはこんなに恵まれているのに。」
子供は中高一貫校へ通っていたので、当たり前のように受験をして県外の大学へ進学していきました。
・・・やっと手が離れた!子育てから開放された!
と、晴々スッキリすると思っていたのに、今の環境が当たり前だと思っている子供を見ていると、私はまだ、苛立ってしまうのです。
自分の子供時代と比べてしまうのです。
もちろん私も、子供にとっては当たり前な事だと思っています。
でも、心の奥底のドロドロとした気持ちが無くならないのです。
普通に幸せに育った主人や子供には、絶対に理解出来ない。
私は、いつ、この感情から開放されるのでしょう。
ただ、聞いて欲しいだけの話。