*冬から春への恋世界*
君を追いかける目線の端っこで、梅の花が微笑むのを見ました。次第に桜も追いつくでしょう。
恋すると花に目がいくものです。つまり君は、僕に花を教えてくれた人なのです。
ああ、もうすぐ春が来るので、どこかで誰かが笑うでしょう。それは魔法です。温かいものは、いつだって魔法になって人の心にともるのですから。
君も、素敵な笑顔をくれるでしょうか。毎日もらっている僕が言うのもなんなのですが、新しいものが生まれる春ですから、いつもとは違う新しい笑顔の始まりを知りたいのです。
それはつまり、花が微笑んだら実がなるように、君の微笑みで僕の何かを実らせて欲しいわけなんだけれども。
なんて言うかね、恥ずかしいから、僕はごまかすように君より先に笑っていようかなあと思います。
そんな冬の終わりです。
まだ続いていく寒い日には、耳が赤くなるのを冷たさのせいにして、君の手を僕の手で温める勇気を愛したいと思います。
なぜなら僕は、本当に、それ以外の言葉では決して示せないほどに、君が「好き」なのですから。
そう、君と見ていく花のある世界を、僕は「恋世界」と呼んでいるのでした。
END
春の温かな空気を待ちわびつつ心の中で恋文を綴る日があったなら、きっと、ふんわりと良い感じ。