私は最初なにも知らなかった
まっしろの1まいの紙だった
呼吸をすることを覚えた
眠ることを知った
ぬくもりを覚えた
母のことを知った
光のことを覚えた
ここまでのことはもうよく思い出せない
泣くことを覚えた
お腹がすくことを知った
笑うことを覚えた
歌うことを知った
パンの味を覚えた
絵本の世界を知った
動物たちのことを覚えた
笑いが多かった日々
恥ずかしさを覚えた
怒りを知った
悲しいことを覚えた
友達のことを知った
シロツメクサのことを覚えた
パスタの味を知った
交通ルールを覚えた
長いような短いような日々
不安を覚えた
遅刻するということを知った
祖父母の土地の風景を覚えた
欲しいという気持ちを知った
怖いという気持ちを覚えた
汗を流すことを知った
道いっぱいに落ちた赤い実のことを覚えた
孔雀と山羊のことを知った
嘘ということを覚えた
手紙や切手のことを覚えた
もやもやとした気持ちを知った
しんどいということを覚えた
薄い包み紙のことを知った
森のことを覚えた
喧嘩のことを知った
押し花の作り方を覚えた
お鍋の味を知った
本の世界を覚えた
憧れを知った
買い食いというものを覚えた
近いようで遠くなっていく日々
間違いを覚えた
世界のことを知った
ずれを覚えた
おかしいということを知った
サボるということを覚えた
音楽のことを知った
考えるということを覚えた
人というものを知った
想像を覚えた
見捨てられるということを知った
情けないということを覚えた
ブーメランのこと知った
逃げることを覚えた
ことばというものを知った
詩というものを覚えた
ここまで、いろんなものを覚えて忘れていった
私には知らないことが多い
私はいろんなことを知って、覚えたい
紙はまだ半分も埋まっていない
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ななしさん
すごく、すごくいい詩だなと思いました。
なんだか気がついたら、自分自身の子どもの頃、学生の頃、そして幼い息子のことを重ねて読んでいました。
最後の
「私には知らないことが多い
私はいろんなことを知って、覚えたい
紙はまだ半分も埋まっていない」
という部分が特に好きです。強く共感できる内容を、印象的に表現してくれた詩だなと感じました。
私ももういい歳なのに、知らない事が多くて。覚えたくてもなかなか覚えられなくて歯痒くて。
そんなことをヒシヒシと感じる、慌ただしい日々の中で、時々読みたくなる詩です。
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