あなたはだれなんだろう。
年齢とか、性別とか、
学歴とか、職業とかは
どうでもいい。
データに興味はない。
そんなものに中身はない。
たとえば、
春のうららかな日に玄関から出たとき、
一番はじめにすることは何ですか。
お日さまを見上げる?
まぶしさに一瞬目をつぶる?
頬にあたたかさを感じて
肩がふっとゆるむ?
深呼吸、つま先で床をとんと一蹴り、
かかとでゆっくり180度のターン。
荷物の確認。不足はないはずなのに、
いつも何かを忘れているような感じ。
なんだかおかしくて、
マスクの下ですこし口角が上がる。
首すじに柔らかい風、
重さのない毛布を纏ってるみたい。
鍵のかかる音もいつもより軽やかで、
まずは一歩目、はずむように歩きだす。
そういうことを知りたい。
時間のすきま、
写真に残せない日々の色。
残しておける言葉ではなく、
忘れてしまう、心のこと。
一瞬で消えてしまう熱のかたち。
魂と呼ぶにふさわしい、
日常をいとおしく見つめる
あなたの目のはなし。