今でも思い出すんだ。
地震速報を見る度に思い出す。
熊本に行った時、地震の怖さを教えてもらった。
地割れを見たり、建物の亀裂を見たり。
もちろん、それも怖かった。
色んなものを見て回ったけど、いちばん怖かったのは現地の人に話を聞いた時。
「自分の命を第一に」ってずっと言われたこと。
わかってるんだよ。
生きたいって思うのが普通って。
でも僕にとっては、早く終わって欲しい命で。
知らない誰かよりも優先されない命。
だから、ずっとずっと繰り返される生きなさいって言葉は僕にとっては地獄だった。
軽いトラウマになるほどに、鮮明に覚えてる。
苦しくて、その場で自分の体をずたずたに切り刻みたくなった。持ってたペンを首に力いっぱい突き刺したくなった。
ただただ、死にたいって事しか考えられない自分が怖かった。
泣き喚きたかった。数滴だけ出た涙を友達に心配されても直ぐに大丈夫って言える自分が怖かった。
どこが大丈夫だよ、今すぐ死にたいくせにって。
そう思うのに、何も言えなくて。
ただただ、いま生きてることが嫌だった。
生きて欲しいってのもさ、逃げ場のない状態で面と向かって言われると場合によっては凶器になるんだよ。
分からなくてもいいから知ってて欲しい。
簡単に言われた「生きて」って、どれだけ共感された状態でも苦しいんだよ。