弟よ。
私はお前を嫌ってなんかいないよ。
機嫌が悪いわけでもない。
返事や相槌をしないだけで
ちゃんと話は聞いてるよ。
たまに聞く気がないときも
そりゃあるけどさ。
でも今に始まったことじゃないやろ?
昨日だって普通に会話してたよね?
そんなに口数減ったかな?
まあ、そう感じるなら
そうなのかもね。
もしかして「死にたい」って
漠然と思い出したあたりかな?
実はね、
姉はもう死んでしまいたいんよ。
まだ誰にも言ってないし
そんな素振りも見せてないけど。
成人して、仕事しだしてから
確実に着実に
死へと引き寄せられていく
感じがするんだ。
生きることに疲れちゃってさ。
いや、違う。
命が要らなくなっちゃった。
うん、もう要らないの。
他人の人生が詰め込まれた
自分の人生は自分のものじゃない。
私なのに私じゃない。
自分のものじゃないから
こんな命【もの】要らない。
だから捨てるの。
ねえ、弟よ。
私は、姉はどうすれば
良かったんだろうね。