母に手紙を書いた。
内容は、母の好きなところ、母が大好きだということ。母が人前で私を貶して笑うのが悲しくてつらい、妹にやらない意地悪なことを私にするのはなぜか、私と2人の時だけ理不尽に当たるのはなぜか。あなたの期待に沿えない出来損ないで申し訳ない。あなたと祖母の子供時代の関係を知りたい、いつも人の話ばかりであなたのことがわからない。あなたを苦しめているのは何か。家事の分担が足りないならみんなで考えたい。あなたから生まれたが私は別の生き物だ。あなたと仲良くしたい。
と、いうことを、4時半に目が覚めて寝付けなくなってから、寝るのを諦めて日が昇るまで、涙でぐしゃぐしゃになりながら便箋4枚に書き連ねた。
ショックな内容だと思う。泣きながら書いたから字も内容も滅裂で、親不孝な内容だ。
本来であれば同じ土俵に立たず、卑下で他人に訴えかけるような浅はかな手法を取らないほうが良いのだろうが、母は自分の加害性には酷く鈍感で、かつ被害者意識が強い。ただ「こういうことはやめてほしい」と伝えるだけでは、「私なんかこの家にいらないんだ……」と思考を放棄し、自分の殻に閉じこもってしまう。すごく面倒な人だ。なので、敢えて同じ土俵に立たなければ、こちらの言葉が伝わらないと思った。
思春期のメンヘラが書いた感じの自虐や卑下を書き連ねたので、痛々しくて封筒に入れる前に読み返すことはしなかった。
母はいつも私に意地悪なわけじゃない、いつも私に優しい。優しくて、不機嫌じゃない母にこの手紙を渡したら、その日の気分はきっと台無しになる。
でも私は、単純に母から人として尊重されていないと感じる瞬間がこれまで何度もあった。訳もなく唐突に、嬉しい気分でも一瞬で踏み潰されて、数日暗い気持ちで過ごすことが沢山あった。
だから、もうどうでもいいか、と思って、昨日の夜のうちに手紙を箪笥に置いておいた。
今朝、珍しく母は昼前まで起きてこなかった。ようやく起きた母に「おはよう」と声をかけたが、無視された。
声が小さかったかな!?と思い、リビングで鉢合わせた時にも「おはよう!」と言ってみたら、蚊の鳴くような声で「ォハヨ」と返された。私には、「自分の思いを伝えた」「母が恐らく落ち込んでいる」という2点だけでちょっと満足な気持ちになった。
私も母もそれぞれ出かける予定があったので、次に顔を合わせたのは夜だった。母は父に手紙のことを話してはいないらしい。多分父が知ったら私が怒られるけど、そうやって何かあっても周りを頼らないところが、そういうところが、と思う。
お帰り、とかご飯炊いたからベランダで冷ましてあるよ、とか声をかけたが、私のことは無視で父と話していた。鼻歌を歌いながら自分の夕飯を準備し始めた。
そうか〜 と思う。1日経っても母が私への接触を避け、こちらも緊張を拭えないまま過ごし、何だかキツくなってきた。
手紙で酷いこと書いてごめんね、あれは落ち込んでる時の私だから、いつもそう思ってる訳じゃないから。……とか言いたい気持ちが湧いてくるが、それではいけないのだ。母を責め立てる内容は書いていないが、母が傷つくとわかって書いた手紙だ。私はこの罪悪感を背負う義務がある。
そもそも母が長年私へ意地悪をしてこなければ、たとえ私や家族へ不満があったにしても、私が不意に思い出して泣いてしまうような扱いをしてこなければ、手紙など書かなくて良かった。
母親と娘って呪いのようで嫌だなあと思う。他人だったらしないよね?ということを言われたりされたり、ストレスの吐口にされて、母の好物を買ってきたら文句を言われたりして、それでも母を好きなのをやめられないから。
母が私に意地悪なことをする原因や背景を、慮ろうとする自分が嫌だ。子である私が、親である母の中の子供の世話をしてやる義理はない。けれど私は子供時代を完遂し、様々な経験を経て私という大人になったので、私なりの正義で母という人間に寄り添いたいと思ったんだ。
あの手紙には、娘としての苦痛と、大人になった私の人としての優しさと、私に考えうる限りの愛を込めて書いたつもりだ。あれを人格否定や攻撃だと捉えるのなら、私にはどうしようもできないし、母ももう誰かに救われることなど無いと思う。もう社会人だし、私が出て行くしかなくなる。
悲しい。
誰が読んでくれるかわからないけど、私の中で経緯や今の気持ちを残す必要があると思ったので、今日このサイトを知って書いてみた。
今日はベランダで、先日購入したいちじくの苗を用意していたプランターに植え替えてみた。一軒家に住んでいる人が子犬をお迎えするとき、こんな気持ちかもしれない。
果樹は初めて育てる。美味しい実がいっぱいなるといいな。