馬鹿にするな。
私と先生の2年間はそんなゴミなんかじゃない。
2年間お世話になった部活の先生へ、寄せ書きムービーを撮ることになった。
撮影時間は経ったの15秒。
文が思いつかなくて、母に尋ねた。
「何か一つエピソードを言えばいいのよ。」
そんなものない。本当にない。
先生からたくさんのものを学んだ。
1つ1つ小さなものだった。
でも、それぞれ1つ1つが大切だったんだ。
先生は厳しい人だった。
そんな先生がみんな怖かった。避けていた。
母にもその事を伝えていた。
でも、異動と聞いて悲しさと悔しさが溢れた。
先生は夏の大会まで来てくれないのか。
これから居ない。もう居ない。
今まで怖さから耐えてきて、
先生と一緒にいっぱい勝って来たのに。
母に「そんなエピソードが無い。」と伝えたら、
「残念だったわね。こんな子に先生は指導をしていたなんて。」
違う。
でも、確かにそうだ。
先生との明確なエピソードなんてない。
けど、先生と勝ってきて、
育ててもらって。
たまに笑える瞬間もあって。
いっぱい詰まった思い出が15秒に収まらない。
私は母にそんなことを言われて、涙が溢れた。
母にそんなことを聞いた私が馬鹿だったか。
でも、
やめて欲しい。そんなふうに言わないで欲しい。
先生との思い出は大きくて、大切なものだ。
厳しくて苦しかったのは変わらなくても、悲しいの方が強いのだ。
もう1年だけ居てくれたら。
どんなに辛くても、苦しくても、頑張るから。
もう1年。それだけでいいから。
一緒に戦って欲しかった。