ふと思う。
恋したことも親友ができたこともない私の創作世界にいる「恋人」たちや「親友」たちは果たしてリアリティのあるものだろうか。
もちろん創作である以上現実との乖離は仕方のないことだが、あまりにも現実離れしていると読者は理解できまい。
そうなると必然的にある程度のリアリティがいるのだが、経験していないことをあたかも経験したかのように描くことは困難である。
百聞は一見にしかずというが、百見は一回の実体験に及ばないと思う。
いくら資料を見たところで、恋や友情の心の動きや広がる物語は作れない。
私の創作世界にいる彼らは、私が描写できないだけで現実のものと変わらぬ人間関係をしているのだろうか。
私という観測者には見えないだけで彼らは私という創作者を超えた存在なのかもしれない。