ふと我に返った。俺なんのために絵を描いているんだろうと。誰かに見せるわけでもなく、金をもらえるわけでもなく、時間を消費し

ふと我に返った。
俺なんのために絵を描いているんだろうと。

俺は今日一日、とあるキャラクターのイラストを描いていた。すっげぇ好きなシーンの一枚絵がどうしても描きたくなったんだ。(描いたのはりったまっつー俺の大好きな探索者の、りったまのたまの方なんだが)
7時間22分もかけて描いたよ。クオリティーも、数ヶ月前の俺に比べりゃはるかに上だ。そりゃ満足したさ。

だが、だがな。
描き終わって、メイキングも作って、我に返ったんだ。
俺、なんで絵描いてんだろう、と。

誰かに見せるわけでもない。
いや見せたいんだけど。出来ることなら色んな人に見せて褒めちぎられたいし、俺の絵を見てめっちゃイイねしてほしいんだけど。
見せると言っても、TRPGに興味のねぇ家族だけ。あそこのシーンめっちゃいいのに、俺はそのシーンを描いたのに、絵だけ見せたって誰も本当の魅力に気づいてくれやしない。この素晴らしさを共有できる人が誰1人いない。
何ならみんな自分にしか興味ない。俺の絵なんかクソ程どうでもいい。時間の無駄なんだが？自分で勝手に終わらせとけよなんで声かける？とかいう顔でこっち見る。そりゃそうだよな！！アンタはレポートに追われてるし、もう片方のテメェはそもそも俺自身に興味ねぇもんな！！！

金をもらえるわけでもない。
例えばの話ね。俺の約7時間半が200円で売れたとしよう。頑張ってよかったなとかさ、俺の7時間半が200円だとしても、それで喜んでもらえるならやり甲斐あったなとかさ、あるじゃん。自給自足だから利益0だからね。何もない。
なんなら俺自分でネップリするために某コンビニのネップリアプリまで入れて、QRコードまで作って、自分の絵に自分で40円払ったからな。なんでネップリしようと思ったんだ俺は。

誰かに見せるわけでもなく、金をもらえるわけでもなく、時間を消費し、挙句俺自身が俺の絵に金を出すという。
俺は何がしたかったんだ。

絵を描いて満足したよ。したけどそれって一時的なものでさ。描いたは描いたで使い道ないし、せいぜいLINEのアイコンにするぐらいしかないが？

俺の絵を評価してくれる人はいないし、お気に入りしてくれる人もいない。
別に反応が欲しいから絵を描くとか、金を稼ぐために絵を描くとかじゃないけど、俺の7時間半に価値はほしいじゃん。それなりの対価はほしいじゃん。

俺は今まで、何のために絵描いてきたんだ？
俺がこの世界に誕生して、姉貴らの流れで俺も絵画教室習い始めて、楽しく絵の具バシャバシャやって、13年間絵描いてきて。それなりの画力は身についたけど、それに比例する評価は一度足りとも貰ったことなくないか？

小学2年生の頃、クラスの奴らのためにコンビニのプリントで200円300円とかかけてコピーして配って。あいつらは対価を支払ったか？今でもあいつらは俺の絵を大事にしているのか？

みんなが欲しいって言うから、欲しい人だけのクジ作って、当たった5人分だけコンビニでコピーして、イラスト配って、かけられた言葉はなんだった？
「別に要らないんだけど、ノリで参加したら当たった」？
俺はその絵に何時間かけた？いくら金かけた？ただ喜んでほしくて作ったイラストになんて言葉を浴びせられた？

俺の絵はいつもそうだ。上手い、凄い。棒読みの、何の感情もこもってない、これ言っとけばいいやろの言葉。それしか言われない。

いやそれも嬉しいよ？下手だとか、パクりだとか、そんな言葉より全然嬉しいよ？きっとこの気持ちは高望みし過ぎてんの、わかってんだよ。

でも俺の欲しい言葉はそうじゃない。誰かにあげて、「ありがとう！」誰かに見せて、「これ凄いね！」
笑顔で受け取ってもらえて、笑顔で見てもらえて、あぁ、描いてよかったなって、そう思えるような、そんな絵が描きたいのに。

俺はいつこうだ。俺が勝手に生み出した絵に、それ相応の評価を貰おうと必死で、生み出された絵は、それを望んでいるのかもわからなくて。
結局、俺の自己満足と承認欲求に振り回されて、納得が行かなければ未完成だったり、ラフで終わったり、消されたり、捨てられたり。

絵を描くのは好きだ。好きだけど。
ごめんな、ごめんな。俺がお前らの父さんなのに。俺がお前らを作ったのに。
お前らを、俺の絵を、心から愛せない俺が、心のどこかにいるんだ。

俺はなんで絵を描いてるんだろう。俺はなんで、13年間、中学2年生になるまで絵を描き続けてきたんだろう。
俺は何枚の絵を殺してきたんだろう。自分が満足いかないからって、俺は、俺は。

絵を描きたいと思う俺と、もう絵を描きたくない俺が混ざって、よくわからなくなる。
意味なんてなきゃ、絵なんて描けない自分は嫌だ。
好きで絵を描いていた頃の俺は、一体どこに行ってしまったんだろう。

mzk

209767通目の宛名のないメール

お返事が届いています

ななしさん

とぅってぃさんの、美大を卒業するまでの話、を
最終回までぜひ見て欲しいな。
最終回で、絵を描く答えが分かるかも…です。

ななしさん

私も、絵とか漫画を描いてSNSに投稿してるけど、
全く反応ないです！
評価されたくて描いてるのか…？
って、毎日葛藤してます！
愛することは信じることだと思うから、
信じ続けるのって難しいよね…。
そこまで考えて描かなくていいのかな、とも思ったり…。
実は、アカウントを何個も変えながら描いてて、
描くのやめちゃったこともある。
だから、今回はやめたくないな、って。
続けてみたいなと思ってるよ。
評価されるための絵を描くのか、
葛藤は続きます…。
mzkさんが思ってること、
実は絵描きさんは同じこと思ってる人は多いんじゃないかな。
みんな戦ってるんだね、きっと。

kuma-chan

興味ある。

無責任に描き続けろとは
言わないけれど。

「上手な素人」と「プロ」の差。
小さな違いのようにも見えるけど、
極一部の人にしか越えられない高い壁。

どんなに好きだったものでも、
これを乗り越えるのは、
苦しいと思うんだ。

mzkさんの絵をみたことはないけれど、
努力していることは十分に伝わるし、
相当なレベルの絵だろうことは想像つくよ。

7時間22分かけた絵。
数ヶ月前よりはるかに上ってことは、
まだまだノビシロあるだろ？

苦しいのが分かるから、
無責任に続けろとは言わないけれど、
続けて欲しいなって思う。

ななしさん

多くの人がぶち当たる悩みだと思います。
評価や対価が欲しいという気持ちはあっていいです。絵が上手い人や時間を費やしてきた人の多くは言わないだけで、求めていると思います。そういった気持ちを持たない人もいますが、絵に対して熱い気持ちを持つ人は考えてしまいますよ。絵が好きだという証拠だと思います。
ただ、そういった黒い部分を見られるのが嫌で隠している人も多い。

数名でグループ展示したり、何かを目的に絵を描いてみるのは如何ですか？
私の知り合いは、仕事が欲しいから自分を知ってもらうために個展やグループ展をしています。評価される機会がほしくてグループ展に参加する人もいますし、そういった所で刺激をもらい、心を満たすのも大切だと思います。
場合によっては、イラストレーターさんを探している人の目につくかもしれません。
絵で生きている人を見ると、人様に見つかってしまう天才もいれば、見つけてもらえないからこそ自分に対して上手く営業をし、自己プロデュースが上手い人もいます。

いつか貴方の絵を見てみたいです。

ななしさん

かなり年っとったら努力できた事が喜びだったと思うかもです。何でもそうですが上達を実感できる始めが楽しいですね。

そうなった経験何度もあります。上達よりか続ける事が一番大事だと気づくかもです。楽しい努力してお金もらうと嬉しいですが、お金と絵を描く喜びって違いますね。初心の心忘れるべからずです。確かに利益を生まない事に時間をかけるのはよくないんですがね。
プロ目指すなら俄然やる気になると思います。でも娯楽の範囲の方が楽しいでしょう。

椛

その気持ちめっちゃ分かる。

私、卓球部入ってるんねん。
卓球は楽しいねんけど、周りの人みんな上手いから自分が情けなくなる。
んでふと「なんで卓球続けてるんやろ。続ける意味あったんかな。」って考えるようになってしまった。
たまに良いプレー出来ても周りからみたら大したこと無いんやろし、どーせ誰も私のことなんか見てくれへん。
認めてもらえへんって辛いよな。

ごめん自分のこと話しすぎたし、ずれてもた話。

もずくの絵はほんまに凄いと思うよ。
初めてみたとき凄すぎてびっくりしたもん。
もっと自信持って良いと思うで？
私、もずくの絵めっちゃ好きやねん。
良かったらまた見せてや。
もっともずくの絵を見たい。
誰も認めてくれへんなら私が認める。
もずくの絵はほんまに凄いよ。
まじで凄すぎる。
神絵を生み出してくれてありがとう。

あんま思い詰めんと、時間に余裕あるときに描いてもいいと思うで。

ななしさん

私も昔は絵が好きでしたが、あまりに下手すぎるので人に見せるのが恥ずかしくてやめました。

その次はネット小説に手を出しましたが、それこそ数ヶ月書けて仕上げた作品が閲覧者数2桁ちょっとという惨状で、同じジャンルに初めて投稿した人が圧倒的な評価を得ているのを見ても『一体これのどこがいいのか分からない』と感じてしまい、今はもう何もしてません。40本近く書いたものの、何も残るものはありませんでした。

『その時間を、例えば資格の勉強にでも向ければ良かったのでは？』と言われてしまえば、反論のしようもありません。しかし、今の燃えカスのような自分も、確かにあの時の自分が色々創作をやってたからこそあるものなのだと思うしかありませんね。

『劣等感に苦しまずに創作をしたいというのは、健康的に覚醒剤をキメたいと言っているようなもの』
私が好きなライターさんの言葉です。