私は天野 小春。高1。
みんなには隠してるけど、好きな人がいる。
三上晃大(みかみあきひろ)。
晃大とは幼稚園の頃からの幼馴染だ。気弱な私のことをいつも助けてくれていた。
気づけば私は晃大のことが好きだった。
成績優秀で、優しくて、カッコいい。全てが大好きだが、付き合うなんて夢のまた夢だ。見ているだけで幸せだった。
ある日。
「俺、あと1週間で死ぬかもしれない」
晃大が言ってきた。え?あの皆勤賞もらってた晃大が?なんで?
「実は病気なんだ。既に手遅れの状態らしい。1週間生きれるかどうかだって」
嘘…。嫌だよ晃大。死なないでよ。
「小春、俺はこの1週間、心残りなく過ごしたいんだ。手伝ってくれ」
そんなの…やるしかない。晃大のためなら何だってする!!
「…うん、分かった」
晃大は本当に楽しそうだ。カラオケ、食べ放題、映画、水族館、カフェ、遊園地…。
こんな日々が毎日続けばな、と私は思った。晃大の明るい笑顔が二度と見れないなんて、考えたくもなかった。
運命の日は来た。
【小春、今すぐA病院に来て】
晃大からのLINEだ。
私は走ってA病院に行き、晃大の病室の扉をガラガラっと開けた。
「小春ちゃんね。来てくれてありがとう」
そこにいたのは、晃大の両親と、青白い顔をした晃大だった。
「小春…来てくれたんだね」
晃大は細くか弱い声で言った。少し前の晃大とはまるで別人だ。
「晃大、もう心残りはない?」
私がそう言うと、晃大は優しく微笑んだ。
「一つもないよ。小春と幸せな1週間を過ごせたし、今小春と話してるからね」
「え?」
「小春が好きだ。ずっと。俺はもう死ぬからこの恋は叶わない。でも、命はいつか終わるけど、恋は永遠に終わらないよ。それだけは忘れないでね」
私は泣きながら晃大の手を握った。
「私も好きだよ…大好きだよ」
私がそう言うと晃大は泣きそうな顔で笑い、そして目を閉じた。もう、二度と目を覚ますことはないんだ。
「命はいつか終わるけど、私の初恋は永遠に終わらない。ありがとう晃大、大好き」