前に「小瓶を海に流して」から、約1ヶ月経った・・・。
高校、大学と女子校に通い、そこにいたレズビアン達を周りと一緒に軽蔑してきたこの私が、今は同性に恋をしている。
一人の女性に恋をしている。まるで、男性に恋するように・・・。
そんなに長く生きているわけでもないが、改めて思う。『人生は何が起こるかわからない』、と。
この1ヶ月ほどの間に色々なことが起きた。嫌なことも、そして、素晴らしいことも。
私の片想いの人、彼女との距離は少し縮まったように思う。前よりも、ジョークやふざけたことを言い合える仲になった。
彼女は言う、「私にするように、他の人にもその笑顔で接したら良いのに」と。
突然指摘されて戸惑った私は、苦笑いして適当なことを言ってごまかした。けど・・・。
ねえTさん、私が不器用なの、うっすら気づいてるでしょ?
貴女といたら嬉しくてたまらないから、大好きなTさんだから、自然な笑顔がこぼれ落ちるんだよ。
他の人と一緒にいる時でも、もちろん自然な笑顔は出るけども、Tさんと過ごす時間は私にとって特別なんだ。だから・・・!
私は不器用でバカ正直だから、嘘の笑顔なんてできない。嫌いな人に媚びへつらうこともできない。
それで、私は今まで痛い目を見てきた。器用な連中を羨ましく思えると同時に、その才能を妬んできた。
けれど、今は羨ましくともなんともない。
なぜなら、Tさん、貴女も『不器用な人間』だからだ。・・・おそらくは。
出会って約半年の間、貴女を見てきたけれど、私は確信する。
貴女のその不器用な優しさに、私は惹かれているのだと。
外見は男性的で背が高く、顔も怖いけれど、すごく優しい人・・・。
真面目で不器用で真っ直ぐな心根の人。
私は貴女が好きだ。私は貴女のようになりたい。貴女のように生きたい!
最近、こんな夢を見た。私とTさんとその他の人は、どこかの宴席にいる。
食卓には寿司などの和食が並べられている。
私の右隣にはTさんが座っている。
私を見つめる彼女の瞳は、まるで恋人を見ているかのようだ。
私は試しに、少し躊躇しながらも彼女の左手を握り締めてみる。緊張のあまり右手が汗ばむかと思われたが、普通の手の状態でTさんの手を握れた。
Tさんは微笑みながら、私の手を握り返す。
私の心は高揚し、思い切って右手の小指をTさんの左手の小指に絡ませた。それに対して応えるように、彼女の小指が私の小指をきゅっと締め付けるのが感じられる。
そして、Tさんの顔が近づいてくるのを感じ、私は瞳を閉じた。
周りの人間なんか、もはや、どうでもよかった。
私達は唇を重ねた。嬉しくて溢れた涙が私の頬を伝うのを感じる。
突然、舌が唇を割って入ってきた。Tさんが舌を入れてきたのだ。私も夢中になってTさんの舌に自分の舌を絡みつかせる。
もうどうなってもいい!このまま貴女に抱かれたい・・・!
・・・と、思った瞬間、とんでもない生臭さが口の中に広がった。納豆の味だ!
ちょっと!Tさん!納豆臭いんですけど~!!(>д<)
そこで一気に幻滅して、目が覚めました(泣)
良い夢だったのか、悪い夢だったのか分からない・・・。あまりの目覚めの悪さと、印象的な夢だったため『夢診断』で調べたら、「片想いの相手とキスする夢は、現実では実らない」と書いてあった。
そっか、叶わないのか・・・やっぱりな。私は既婚者で主人がいるし、Tさんはバツイチとはいえ、息子さんがいる。成就させたところで、同性愛の不倫になってしまう。
でも、自分の気持ちに嘘はつけない。Tさんへの想いを捨てるなんてことはできない。
時々、切なくなるけれど、会社に行ってる間は貴女に会える。
それだけで幸せだよ。Tさん、貴女に会えて良かった、ありがとう。