雨の日と深夜が好き。
とてもホッとする。
今ここに、特別な何かを持たず何もせず、そのままの姿で居てもよいと天が許可をくれたような気持ちになれるから。
すごくすごくホッとして、静けさと雨の音に心がなだめられる。
つくづく太陽とはあまり相性が良くないのだな、と思う。
太陽に養われたあらゆる食べ物を口にして天の恩恵をひたすら受け取っていながら、私自身は太陽のもとで生きることが苦痛。
太陽の光を浴びないからセロトニンが分泌されず常に鬱っぽい。
ちゃんと分かってる。
どうすればよいのか。
どうすれば他の人達と同じように日々を生きられるのか。
頑張っていた時期もあるんだよ。
本当に大変だった。夜と雨への指向性が消えることはなく、むしろ昼間に生きる生活がストレスをどんどん生み出し、しまいには疲れ切って倒れる、の繰り返し。
子供の頃からずっとそう。
前世を観る人(少なくとも本人はそう言ってる)に観てもらったら、なんと前世は夜に活動する陰陽師だったそうな。
あら、びっくり!
何でも良いけど、世間とはズレきった体内時計と思考回路を正す助けには一つもならなかったよ。
陰陽師のすごい能力もまた現世に持ち続けていられたなら、たくさんの人を助けて尊敬もされ、ちゃんと生きがいを持って今を生きていられただろうに。
今の世では、私は単なる無能者で非生産的で、逆の意味で人々は好奇の目を向けてくる。
どうやって暮らしてるの?
お金は?
仕事は?
結婚は?
それに答えたら、私が安心して昼の世界を生きられように、手助けでもしてくれるというの?
夜は、さらに雨夜ならなお良い。
深夜に一人、明日はなんとか生きられそう、明日は立ち上がろう、普通の人々と同じ生活に戻ろう!仕事を探そう!こんなキャリアもなく資格もなく特技も趣味もない私でも生きられる世界は絶対にある!
本当にそう思えるの。
でも翌日の夕方まで、目が開かない。
ぐっすり深く深く眠り続け、目覚めた時にはものすごい憂鬱感に悩まされる。
不安が溢れてきて叫びたくなる。
助けて!
声に出さずにキッチンの真ん中で叫ぶ。
こんな日が繰り返される。
助けて。
朝晩が完全に逆転したこの生活が私にはものすごく心地よい。
普通に心穏やかにいられる。
でも昼の生活へ適応しなくてはならない現実を考えただけで、誰かに指摘されただけで、凄まじい不安に押しつぶされそうになる。
心がぐらつき、バラバラになってしまいそうで。
砕け散りそうな体と心の断片を必死で掴んでつなぎとめている。
これからどうやって生きていけばよいのか。
死人のような気分で、どうやって昼を生きる人々に同調していけばよいのか。
試して潰れて試して倒れて試して疲れ果て、またトライする力がどこからも出てこない。