プロローグ
「アルビナ!こっち!」
お母さんに手を引かれ、私は町を駆け抜ける。
「お母さん、大丈夫なの?」
「…とにかく行くよ。あっちに防空壕があるはず。」
私の大好きな町が壊れていく。その様は私にとって、苦しい以外の何物でもない。
昨日までは、こんなことはなかった。
5日前、キリロとペチャと遊ぶ約束をした。
一昨日、お母さんとおやつを作ってご近所さんにあげた。
昨日は、久しぶりにお父さんから手紙をもらった。
なのに、寝て起きたらこんな惨劇なんてあんまりだ。
「お願いです、神さま。戦争の辛さを、世界中の人々に知ってもらいたい。そして、もうこれ以上傷つきたくないのです。」