人間界で何者かになってみたところで
庭先でお腹丸出しで寝そべって
「撫でれ」
と圧をかけてくる猫には
絶対に適わない
何者かになるために
あれもこれもと手を出して
何かを手に入れて いっときは充足したつもりになっても
今度は手に入れたもののメンテナンスがストレスになるだけ
背負いこんだら詰む
身軽さの価値を軽視しないこと
本当は要らないのに
ないと困ると思いこまされているもの
幸いなるかな
手を出す前に気付けた人たち
何を手に入れたところで
完全な無垢さと
自分を疑うということを知らない
生き物としての完全な自信
この二つを
生まれながらにして備えている猫には
絶対に適わない
それならせめて
身軽さだけでも
猫に倣おう