プロローグ
「アルビナ!こっち!」
お母さんに手を引かれ、私は町を駆け抜ける。
「お母さん、大丈夫なの?」
「…とにかく行くよ。あっちに防空壕があるはず。」
私の大好きな町が壊れていく。その様は私にとって、苦しい以外の何物でもない。
昨日までは、こんなことはなかった。
5日前、キリロとペチャと遊ぶ約束をした。
一昨日、お母さんとおやつを作ってご近所さんにあげた。
昨日は、久しぶりにお父さんから手紙をもらった。
なのに、寝て起きたらこんな惨劇なんてあんまりだ。
「お願いです、神さま。戦争の辛さを、世界中の人々に知ってもらいたい。そして、私たちを救ってください。」
☆主人公
・天羽 瑠唯(あまう るい)
中学生。成績優秀。エリート校出身で一流企業勤務の両親のもとに生まれる。小学校、中学校どちらも受験組。偏差値日本一の「霹靂大学付属中学校」の生徒。毎日を無気力に過ごしていて、本人も少し気にしている。
・アルビナ
戦地の少女。瑠唯と同い年。とても優秀で勉強が好き。父と兄は戦地に出向いており、今は母親と二人で暮らしている。「世界の人々に戦争の辛さを知ってもらいたい」と考える。
・設楽先生(したらせんせい)
瑠唯の担任。青年海外協力隊所属経験アリ。無気力に見えるが、ちゃんと生徒のことを思っている。独身であることを生徒にいじられた際、ブチギレたことがある。
・明來(あくる)
瑠唯の唯一の親友。霹靂中を中退している。両親は離婚しており、父子家庭で暮らしている。歌が大好き。