頭の…ではなく、髪のお手入れのため、美容室へ。
お店に入ると3~4時間は缶詰。
その間、かなり長いお付き合いの美容師さんなので、よくお喋りしています。
今回は、話の流れで、私の学生時代のちょっとした事件について。
「そう言えば、19歳の時に、某親戚筋から、
『お前みたいな生意気な人間は、一生涯誰にも愛されないだろう』
って手紙で宣告されたことがあってね~」
昔の笑い話のつもりだったのですが、話をきいていた美容師さんがフリーズ。
幾分青ざめて、言いました。
「…そ、そんなこと言われたら、僕だったら落ち込みすぎて立ち直れないです。ど、どうやって対処したんですか…?」
「…い、いや、対処も何も…」
美容師さんのあまりのガクブルぶりに、こっちが思わず引く。
しかし、どうも解説が欲しいようなので、19歳当時、この手紙に私がどう「対処」したか、一つ一つ説明しました。
・まず、手紙そのものに対しては、返事は書かず無視。
(ここで、美容師さんが、「エッ!? 」と仰天した。
手紙に返事を書くか書かないかを決める自由くらい誰にでもあるだろうに)
なぜか。
これは、ただの支離滅裂な説教手紙に過ぎず、顧客からの問い合わせの手紙ではない。
従って、返事がなくても向こうは困らない。
返事を書くとしても、
「おっしゃる通りかもしれませんね。ご忠言、まことにありがとうございます(棒)」
以外に書くこともないし、あの長ったらしい手紙にこんな簡単な返事じゃ却って失礼かもと思ったので、放置。
・手紙の内容に関する自分の気持ちの上での対応について:
美容師さんの言うように、
「落ち込みすぎて立ち直れない」
という状態にはならなかった。
なぜか。
理由1: 「他人に好かれるか嫌われるかに興味がない」
この手紙で、この某親戚筋が私を嫌いなことは分かった。
だから何?
私は、この人に好かれていなければ生きていけない立場ではない。
従って、この人の私に対する気持ちに興味を持つべき理由がない。
嫌いたければ嫌えばいい。それだけのことだ。
攻撃してくるなら、防御する。
防御で足りないなら、反撃する。場合によっては返り討ち。
それだけのことだ。
理由2: 「手紙を書いた人物が、信頼に値するかどうかが甚だ疑問」
他人の言葉をすべて同じ重さで受け止める必要はない。
特に、信頼に値しない人物からの言葉は、まともに取り合わずに聞き流す。
これは、恙なく日々を過ごすための必須スキルの一つ。
この某親戚筋も、「信頼に値しない」と判断できる十分な理由がある。
① 手紙の随所に事実に反する記載があり、記憶力があまりよろしくないことがうかがわれる。
また、状況証拠から、不確かな記憶を補うために記録を調べる・他の人に確認する等の手を打つ慎重さにも欠ける人物だと分かる。
② 百歩譲って、この某親戚筋が、信頼に値しないものの私についてよく分かっている場合は、何か有益なことを書いてくれている可能性もある。
が、私が、「一生涯誰にも愛されないだろう」という脅しが効く相手と思っている時点で、私に関しても何も分かっていないことは明らか。
この手の脅しが効くのは、
「人間関係の中に自分が生きる動機を見出すタイプ」
だけであって、
「生きる動機が全然違うカテゴリーにある」
私のようなタイプには何の効き目もない。
ついでに言えば、
「一生涯誰にも愛されない」
という言葉の
「一生涯」って、
「生まれたときから死ぬまで」
という解釈でいいのかな?
だとすると、この言い分自体、既に事実に反している。
なぜか。
ホモ・サピエンスの赤ちゃんは、生き物としての特性上、「この子を生かそう」とする周りからの手助けなしに生き延びることは不可能。
私が、当時19歳まで、とりあえず「生き延びていた」という事実が、それまで誰かしらの愛情に守られていた証拠である。
だから、
「お前は生意気だから、一生涯誰にも愛されないだろう」
という言葉に対しては、
「お言葉ですが、少なくとも19歳現在までは、この生意気さにも関わらず十分に愛されてきたのが事実です。その点、お間違えのないよう」
と答えるしかない。
美容師さんに髪の毛をいじってもらいながら(手が止まらないところは、さすがプロ)、淡々とこんな話を続けていましたが、美容師さんは、呻って言いました。
「いや~、僕もそういう強い心が欲しいです! 」
強い心ねぇ…。
実のところ、この件は「強い心」は関係なく、むしろ、頭の整理整頓が大切というお話に過ぎない。
自分にとって大事なものとそうでないものの区別をハッキリつける。
その物差しで、入ってきた情報や自分の身に起こったことの重要性を評価する。
重要性がないものは自分の中に取り入れない。
重要性があるものは、何がどういう点で重要かをハッキリさせた上で、有用な情報として頭の抽斗に入れる。
たまに抽斗の内容をチェックして、情報の棚卸をする。
古くて使えないものは、捨てる。
抽斗一つにまとめられるものは、まとめる。
よく言われる通り、道具は、よく手入れして、いつでも使えるようにしておく必要がある。
こうしておけば、類似ケースに遭遇した場合、無駄な動線を描いたり無駄に動揺したりすることもなく、最高に手際よく事態に対応できる。
むしろ、こうして頭に自分の仕事をさせれば、心にかかる負担を軽減できる。
だから、心の方は特別に強くなくても大丈夫なんじゃないの、と経験上思います。
美容師さんは、私が帰る時も、まだ呻っていました。
まあ、話をきいただけで同じことができれば、誰も苦労しません。
練習ですよ、練習。
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お返事がもらえると小瓶主さんはすごくうれしいと思います
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