「ここがアフガニスタンか…。」
飛行機から降り、あたりを眺める。
ここはアフガニスタンのカブール空港だそうだ。
「はい、一列に並んで〜」
設楽先生がプラカードを掲げて俺らを呼ぶ。
見知らぬ土地だからか、初めて設楽先生が頼もしく見える。
「先生、全員集まりました。」
「ん。じゃあ、次は電車…あ。」
「どうしましたか?」
「3分後出発…走れ!」
…やっぱり頼れないや。
『良いじゃないか。自分の目で世界の状況を見ることは、とても大事だからな。』
父さんは意外にも、二つ返事で快諾してくれた。
まあ、習い事とかも結構やらせてくれていたからな。
…にしても、だいぶ荒れた街並みだな。
「先生〜。アフガニスタン来たことあるって言ってたけど、やっぱ懐かしい?」
三年生の一軍女子グループが先生に話しかけている。
このプロジェクトに参加しているのは、俺含め十数人。
仲良しグループで旅行って感じの人が多くて、肩身の狭さを覚える。
「あー、懐かしいっていうか…。」
「歯切れ悪いですねw そんな悩むことなくないですか?」
「え、遠距離恋愛で彼女に振られた思い出、とか?w」
キャハハと感じの悪い高笑いを響かせる。うるっさいっつーの。
「懐かしさはあるんだけど。ここの住民の人がこの数年苦しんでいたのに、俺の主観で懐かしいと呼べないというか。」
「ちょっと意味わかんないっすw」
…感じわりぃな。
設楽先生の言っていること、わかる気がする。
「懐かしい」って過去のこと―特に良い過去―を指す言葉なわけで。
でも、現在進行系で苦しんでいる人の前で、これを過去と呼べないってことなんじゃないか。
…回りくどいし、分かりづらいし、こだわりすぎている。
でも、この「こだわり」に心を動かされたのは、おかしくないと思うんだ。
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