傷は治らない。
自分はもっと、ポジティブで前向きな方だと思った。なんでもヘッチャラだと思いたかった。
私は今までずっとピアノを弾いてきた。
10年間だけど、私の人生の半分以上弾いてきている。
でも、大してうまい訳でもなく、才能がある訳でもない。程々。
楽譜があればそれほど難しくない曲はすぐ弾けるし、チャレンジする曲は最近、上級が増えてきている。相対音感もあるし、それなりに丁寧に弾いている。
でも、私はダメなのだと思う。
私には2年前から弾き始めた兄がいる。
彼には才能があるらしい。
親の態度からすぐに分かった。
私がピアノを弾いていてもダメ出しばかりなのに、兄が弾けば褒め回す。
私には弾くのをやめろという癖、
兄にはリクエストを出す。
楽譜も読めないくせに。
指使いすら適当なくせに。
猫背で弾いているくせに。
何も考えていないくせに。
聞けば聞くほど苦しくて仕方ない。
兄が褒められれば褒められるほど、
私が下に落ちていくようで悲しい。
ピアノを始めた頃、母は厳しかった。
失敗すれば叩かれるのは当然だし、
ピアノには1度しっかり座って心を落ち着かせて弾くこと、一つ一つ丁寧に弾くこと。
何回もそう言われている。
母に怒られっぱなしで、ピアノが怖くなった時期があった。ピアノが怖くて、弾きたくなかったし、弾けなかった。
でも、サボりだと、怒られた。
確かにサボっていたけど、失敗しても怒らないで欲しかった。
あんなに苦しかったのに、どうして兄は苦しんでくれないのだろう。
あんなに適当なのにどうして褒めてもらえるのだろう。
本当は怒りたくて、言い返したくて、
叩きつけたくて、潰してやりたくて、
殺してやりたくて仕方ない。
本当は誰かに泣きつきたい。
喚きたい。ヨシヨシして欲しい。
今日は家に父の友達が来て、
いつものように兄に曲のリクエストが入った。
料理に出てきた鍋を、家族にかけてやりたかった。
それか、私がその鍋に私の手を突っ込んでもう弾けなくなってしまえばいい。
そうやって、一度ついた傷が治っても完治することは泣く、何度も何度も治りかけを上からなぞられて、深くなる。
そんな場所を笑顔で耐えたわたしを褒めて欲しい。私のピアノを聞いて欲しい。
私にピアノを弾いてもいい資格が欲しい。
芸術の世界は難しい。
一生懸命やる事よりも、結果が素晴らしくなければなんの意味もない。
消えてしまいたい。
お返事をください
誰でも無料でお返事をすることが出来ます。
お返事がもらえると小瓶主さんはすごくうれしいと思います
▶ お返事の注意事項