さよなら スター
すり切れそうなビデオテープ
声量の停滞した
歌いたがりのミュージシャン
アナログ画面の中でしか
もう 会うことが出来なくなった
よく踊る 彼や彼女は
くるくると みずみずしく
今が永遠に続くかのように
ただ美しい
リズムがあって ビートに乗って
新しいダンスを
自分だけのカウントで
刻む 刻む 刻む
さよなら スター
能天気さの陰すらない
脂気の抜けた背中を
老成というには無理がある
失った物にしがみつきたがる
欲のないふりをして
セピア色のジャケットで幕を張り
すべては過ぎたことよ と
たそがれた顔をして
あきらめきれない昔の影を
誰かが拾ってくれるのを待っている
閲覧自由
鍵はあらかじめ壊してあります。
たのしいから 飛び跳ねたくなった
ステップの動機は
もう 思い出せないみたい
さよなら スター
チャンネルを切るね
流れ星をみせてくれて
どうもありがとう
まいたん