自分には何もないと知られるのがとても嫌だ。家族とか、友人とかに、本当は何も持っていないことや何一つ満足にできないことを知られるのが怖い。自分の欠点は分かっているのに、指摘されたくない。気づかれたくない。
頭も悪いし、誇れることなんてひとつもないし、得意かもしれないことは他人の方がずっと上手にこなすし。ここに自分がいる必要なんてないという自覚はあるけれど、「アイツは何も出来ないんだ」って思われて、幻滅されて離れられるのがとても怖い。
友人と話していて、その話題に満足についていけなくて、察しも悪くて、気の効いた言葉なんて一つも持っていない上に、表現にも乏しいから、ひたすらに頷くくらいが精一杯で。それでも見捨てられるのは怖くて浅い知識をつけたりして、それも一時凌ぎでしかなくて。
何もないことは自覚しているのに、それを埋める方法も思いつかない。早くしないと、見限られてしまうのに。「コイツと関わる必要はないな」「いらないな」って思われて、一人になってしまったら。
周りの人達は、到底及ばない素晴らしい人達で、自分にはもったいないくらいに優しい人達だから、本当は見捨てられるかもしれないなんて考えることが失礼なくらいなんだけれど。どうして自分なんかと関わっているのか分からない。数ある選択肢の中で、あえてこんな人間を選ぶ理由が全く想像できない。一時凌ぎに純粋に騙されてくれているだけか、同情心から付き合ってくれているだけ思えてしまう。今の状態は長続きしなくて、どこかで見切りをつけられる日が来てしまう気がしている。
それはきっと耐えられないほど辛いから、どうにか回避したいけど、何年も空っぽのままな自分には今更できることなんて無いから、いっそ諦めて少しでも悲しくならないように、一人になる覚悟を決めるしかないのかな。