高校になって、バイトを始めた。
有り余る元気をバイトに注いで、はや数週間。私に後輩ができた
もと同中のしぃちゃん。
久しぶりに会って、全力で挨拶。
「私は今とても家に帰りたいです」
相変わらずの辛辣さだった。
某ピザ屋で働く私達は半袖で働いています。冬でも無駄毛処理が必要ですね!
しぃちゃんは、真っ黒なリストバンドをしてます。ダンスはやっていると言っていましたが、バイト中は外しなよと言いましたが無視されました。しぃちゃんは中学生の頃からリストバンドをしてます。
しぃちゃんは大きな痣が背中にあります。小さい頃にできたものらしく、痕になって消えないんだとか。背中を見られるのをとても嫌がるので、きっと手首にも痣があるんだと思っていました。
料理を出す店ですから、大丈夫なの?と店長に聞いて見ると、しぃちゃんは下準備までしかやらないので大丈夫らしい。トッピングは他の人に任せているとはいえ、何故店長もそこまで特別扱いするのさ(`Δ´)
今日しぃちゃんと喧嘩しました
勿論私が勝てるわけありませんが、しぃちゃんに八つ当たりしてしまいました。
ピザの中に髪の毛が入っていたと文句を言いにクレーマーが来ました。
凄い剣幕で、私はどうしていいのやらわからず、半べそで対応していました。
運が悪いことに、今日は新人ばかりで誰も助けてくれません。他のお客様もどんどん出ていってしまうし、クレーマーは厨房の奴も全員出てこいと言って、私達は1列に並び説教されました。帰宅しようとしていたしぃちゃんが半べその私達を見て、溜め息をつくとクレーマーを宥め始めました。
この度は大変申し訳ありませんでした
現在当店で黒髪なのは私だけでございます。私の長い髪が混入してしまいましたこと、心よりお詫び申しあげます。
クレーマーはしぃちゃんの対応に一度は落ち着きを取り戻していたものの、最後のセリフでまた顔を真っ赤にして、長い黒髪を振り乱し「二度と来ないわ!!」と言って出て行きました。しぃちゃんは顎くらいまでしかない黒髪をわしゃわしゃと掻きながら「大丈夫ですか?」と言いました。大人しい子が泣きはじめ、皆しぃちゃんにお礼をいい、慌てて駆けつけてくれた先輩もしぃちゃんを褒めてました。
お客様も減ってしまったので私は帰っていいと言われ、着替えをしていました。しぃちゃんも着替えをしています。凄く悔しかった。私は頑張ってもあの程度。しぃちゃんは頑張らなくてもあの程度。
生理のせいだと言い訳をします、私のイライラは押さえられずしぃちゃんに嫌味を言ってしまいました。特別扱いされてる人はいいよね。口論をして、私が「頑張らなくてもなんでもできる人はいいよね」と言うと、しぃちゃんはリストバンドをゴミ箱に投げ入れました。白い手首には、ピンクの肉が盛上がっていたり、赤い瘡蓋がありました。
「貴方が何度も要求してきた素肌ですよ?満足のいく綺麗な手首でしょ?」
なにも言えなかった。
次にしぃちゃんと一緒になるのはゴールデンウィーク。私はなんて謝ればいいんでしょうか。