好きな人の日記を盗み見てしまった。本当に興味本意だった。軽い気持ちで見てしまったことを死ぬほど今後悔している。
その子はふんわりとした雰囲気の気の弱そうな子で、動物に例えるならウサギのような人だ。いつも教室の隅の席で一人で勉強している。でも日記には全く別のことが書かれていた。周りの人間が思うのとは別人のような彼女が。
自分は本当は正義感が強いのが欠点だということ。以前は他人の不正が許せず、その度に怒っていたこと。そして周囲にも正しくあることを強要していたこと。それが原因で周囲に嫌われていたこと。今ではそれを後悔していること。もう誰にも嫌われたくないということ。だから今は極力他人と関わるのを避けていること。不正も自分には関係ないと思うようにしたこと。でもそうやって傍観者になったことにも葛藤しているということ。
正直言って気持ちが悪かった。こんなにもむき出しの文章を読んだことがなかったから、読んで具合が悪くなった。僕は本当に見てはいけないものを見てしまった。彼女の控えめな性格も、小さな声も全部作られたものだ。僕をどんな思いで見ていたのだろうか。
何よりもそんなものを見た僕は最低だ。もうあの子を前と同じような目で見れないかもしれない。ただただ後悔している。ごめんなさい。好奇心の代償があまりに大きすぎる。
名前のない小瓶
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ななしさん
ウサギな子が好きだっただけであって、その子が好きだったわけじゃないんですね。悲しい。
でも、単に今動揺しているだけだったとしたら、この後冷静になって、もっとその子のことが好きになったりするのかな。そうなればいいのにな。
名前のない小瓶
恋愛って償いなんだって。
だから罪を犯したその償いで、
その子のことをずっと好きでいてやってよ。
ななしさん
日記とか携帯って盗み見ても誰も幸せになれないもんなんだよね、それは変わらない。
大人になったってこった!
ななしさん
遺伝の法則を発見したメンデルという人がいました。
「メンデルの法則」は誰もが聞いた事のある程、有名な法則ですよね。
彼は単なる牧師だったため、「何の権威ない」という理由で学会から攻撃を受けた。
更に勤め先のキリスト教会からは、「アダムとイブ」を否定すると圧力をかけられて、
彼は持論を取り下げた。
彼は生涯それを悔い、「人は自分が正しいと思った事を、正しいと言えないなら、何も残らないのだよ。」と言ったそうです。
その法則が認められたのは、彼の死後だった。
話しは戻り、君は男だろ。
生々しい本音を聞いて、気持ち悪いだと!
間違ってないか?
彼女が、自分を押し殺さなければならない状況を変えてやれよ!
「正しい事は、正しい。」と言わせてやれよ!
世界で、たった一人になっても、彼女を信じぬけよ!
気持ち悪いなんてぬかすなら、彼女に近付くな!
日記を見た事はいけないが、彼女の気持ちのために、努力しろ。
男の謝罪は命懸けだろ、それが男という生き方だろ!
彼女の生涯の味方になってやれ!
ななしさん
人間というものは、かなしい性の動物ではある。ただ、人はみな、失敗や苦労を経て大きくなり成長していく。人の内面というものは他の人にはわからないものだ。だから日記をつけたりして、それをはけ口にしたり心の整理の術にしたりする。人にはそれぞれ悩みや苦労がある。そしてそれらは他の人には、少なくとも外見からはわからないものだ。あなたにはあなたの悩みや苦労がある。その人の日記を見て、その人の内面の葛藤をのぞく。確かによいことではない。ただ、そのようにして誰かに見られるということがなければ、その人はずっと悩み苦しみ、先々自分を痛めつけたりしていたかもしれない。人を外見から見ていた自分を恥じ、人にはそれぞれ悩みや苦労があることを知る、そういうことをあなたは知ったと思う。その人の葛藤を見て、それがいいとかよくないとかいうよりも、人はみなそれぞれ悩みや苦しみを抱えている、そしてそれはお互い様なのだということを知れば、それでいいと思う。
その人の味方になるかどうかというより、その人の内面では葛藤があるということを知っているだけでも、その人にとっては違うと思う。
同じことを繰り返して書いただけのような気もする。
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