不思議だけどどこか現実的な夢だった。
何かに怯え、家族が止めようとするところを無視してベランダから飛び降りた。
スローモーションのように駐車場に落ちた。
落ちる瞬間、ベランダから親のショックを受けた顔や悲鳴が聞こえた。
ごめんなさい。そう思うしか出来なかった。
次の瞬間、身体全身に痛みが走った。
そしてだんだんと意識が朦朧としてきた。
こうやって人は死ぬんだ、と頭の中で考えていた。
気付いたらそこは病室だった。
目を開けると、家族や看護師が私を覗き込んでいた。
あれ、死ねなかったんだ。
皆が私に話しかけて、わたしもそれに答えようとする。
でも声が出ない。
身体も動かそうと思っても動かない。
唯一左手だけが動かせるみたいだ。
声を出そうとしても、ピューと音がなるだけだ。
しまいには呼吸が辛くなってきた。
息を吸うのに身体にはしっかりと入っていかず、ただただ苦しかった。
でもそれが伝えられない。
一生懸命左手を駆使して息が出来ないと伝えようとする。
ああ、今度こそ死ぬんだな と思い夢が終わった。
目が覚めた後も、いつかあんな風になるな、と思った。いつもなら夢なんて気にも留めないんだけどな。