ひとりごと）
幽霊の正体見たり枯れ尾花
ねぇ、ほんとは、もっと、とっくに知ってたくせに
知らないフリをずっとしてきたんでしょ。
あんたは、まばたきのあいだに
ほんとは、それを、幾度も見ていた
おばけはいない。
その事実を、あんたの「現実」として受け止めてしまうと
一番恐れているものと
対峙することになる。
あんたは、意地でもそれを避ける。
あんたに罪はなかった、
あんたに落ち度はなかった。
だれにも、もう、なすりつけるべくものは、なかった。
アンタは許してる。
とっくの昔に。
いくつかの誤解はあったけど、あんたは糾弾しない。
ちゃんと、泣き叫んで、怒ったけど、
そのあとは、事情がわかれば、あんたは、責め立てたりはしない。
あんたは、いい人間ではないけど、
それくらいのことはわかっている。
自由。
あんたが、一番、敬遠していた物だ。
あれほど焦がれて、フェンスによじ上って
有刺鉄線で傷だらけになった
あの囲いは、始めから無かった。
不自由だと信じ切っていたからこそ、
あがくことが、安心材料になっていただけだったんだ。
わたしは、この世に放り出された。
わたしは、この身、ひとつで
生きたことなどない。
どうしたら良いのかわからない。
知らなかったフリをして、また、以前と同じやりかたに？
あがく人の暮らしを、継続する？
理由がなければ、自分をおとしめる理由を
偽造してまで？
いつものように、習い性の面構えで・・？
そして、また、少し時間をおいて
誰かが怒る。
わたしの中の「やめてくれ」が怒る。
そんな、繰り返し・・
今日もまた、幼少期からおなじみの有名人が他界した。
寿命。
一人ずつ、一人ずつ、高速道路から外れていくね。
とても、なんとなく、さりげなく
いなくなっていくね。
わたしも同じ道を辿る。
内蔵されているから、いま、こうして、
キーボードが打てる。
ひとりでいきること、自分の命を生きること
こわい。
・・だってさ。
バカみたい。
身体は笑ってるでしょうね。
肥大した、理性が
踏切り板の前で、及び腰。
身体はおかまいなしに、
心臓を動かし、ツメや髪を伸ばし、摂取した食物を
栄養に変える。
傲慢なわたし。
きれいに飛ぶことにこだわりすぎて
一番大事なことがおざなりになっていたのだと思う
今夜も、自分を褒めるワークをする。
自主トレ。
受け取るワークのことね。
家賃分と割り切って、絵の仕事を受けた。
ふたつ受けた。
なにをやっているんだろう？
まがいもののしあわせを、眉間に皺を寄せて
妄想で描く。
不器用な人間が、生きる手段として。
なにをやっているんだろうかね？
