永遠の出口。
小学五年生のころ友達にすすめられて読んだ本のタイトル。
小学四年生から高校三年生までの、
主人公、紀子のあゆんだ時間を平凡に、優しく紡ぐ物語。永遠へのあこがれと、それでいて限りあるものを愛おしむという主題。
あの頃この小説のどこのあたりが特に好きだったのか、正確に思い出すことはできないけれど、いま、高校三年生になったわたしが
あのころのわたしと同じものを読んで胸をときめかせたのが不思議だった。
あのころから、色んなものが変わったのに。
友達も、趣味も、社会も、わたし自身も。
やっぱり、どこまで進んでもわたしは永遠にわたしなのかもしれない。
そう考えて、
どこかにあるかもしれない、ないかもしれない「永遠」の浪漫に思いを馳せる。
まるでどこかの主人公。
なにより嬉しかったのは、主人公とほとんど同じ長さの時間をーー七年を経て、この小説にめぐりあえたこと。ほんの少しだけ、文庫本の厚みだけ、わたしも厚くなれたような。
ただそれだけの、ちぃちゃな幸せの小瓶でした。