好きな子がフラれた。自分の親友にだった。
びっくりした。側から見れば、その二人はとても仲が良くて、お似合いにも程があるってくらいだったから。面白くて人気のある、優しい男の子と、天然でおバカキャラな美少女。
彼は、私だけにこの恋路を打ち明けてくれた。「お前だったら秘密にしてくれるだろうし、ちゃんと話聞いてくれそうだから」と。
酷な話だ。私は貴方の事を、少し好きだった。
でもまあ、仕方ないとも思う。彼の意中のお相手は私の親友で、すごい可愛くてモテる子だったから。今までもこういう事は良くあった、引き立て役兼相談役。実際慣れっこだったし、むしろ二人をくっつけようと躍起になった。
話を聞けば聞くほど、彼は素敵な人だった。誕生日プレゼントも、相手の事をよく見て、考えて、そこそこお高いものを送っていた(私にはじゃがりこ一個だったのに…笑)。面白くて馬鹿ぶってるけど、本当は聡明で、今時珍しい、付き合った後も楽しませる自信がある、と豪語する人だった。それがまた輝いていて、ああ羨ましいな、なんて感じた事もしばしば。
ぶっちゃけ私が何をしなくても、上手くいくと思っていたのだ。
でもフラれた。
親友は、私が「やめておけ」と忠告した男を選んだ。確かにその男の方が顔は良かったけれど、いかんせん馬鹿すぎる!完全なウェイ系で、将来の事を全く考えていない奴…しかも次々と女を捨てている…親友は相当の馬鹿だから、顔で選んだらしい。本当に、本当に馬鹿だ…
勿体無い、何て言葉じゃ表せないのに。私は蚊帳の外の人間で、地団駄を踏むしかできない。彼はフラれた後、すぐ立ち直ったと言っているけれど、本当にそうかはわからない。なんだか無性に悔しくて、悲しい。
彼の意中のお相手が、私だったら良かったのに。