「助けて」と言える人は強い
何故なら自分の弱さを他人に見せる勇気があるからだ
そう言われたから、私は助けてって叫んでみた
だけど叫ぶだけでは届かなかった
みんな苦労しているんだよ?
どうしてそんなことで他人を頼るの?
誰でもできることができないなんて甘えじゃないか
でも、それは仕方がないことだとも思う
助けてって言われて、助けましょうと即答できる人の方が少ないのだ
むしろ助けてほしいと悩んでいる人の方が多いのだ
自分が解決できる、または手助けできる内容だって限られている
だったら他の救難信号を振り払ってでも、助けられる命を優先させるべきだ
足を引きずって、だけど声が出ないほど痛くて
霞む視界の中で見たものは侮蔑の表情だったから
私は助けられるような人ではないし、助けられるような問題を抱えているわけではないのだと悟った
悩みは相談しましょ
みんなで考えればきっと解決策が見付かるから
怖がらないで、勇気を出して
あなたの悩みを教えてください
そう言ってくれた人に、私の悩みは届かない
そんなことで悩んでいたの?
あなたは怖がっているだけで、あとちょっとの勇気があれば解決するわ
大丈夫、だって…
私には、話せたでしょう?
そう背を向けた人に手を伸ばしても叩かれるだけだ
そう説明されるだけマシな扱いだ
私は助けてって叫ぶ人の前を通り過ぎて、そしてその人たちより前を歩く人に肩を貸す人たちを何人も見てきた
結局、立って自分の足で歩けない人は助けることができないし、助けようともしないのだ
理由があっても、なかったとしても
倒れた人間が起き上がるために必要なことは優しさや努力でも何でもない
痛みを忘れることだった