なぜだろう
なぜだかわからないのに、怖いんだ
自分の全部が溶けて暗闇に帰っていく
こわい、こわい、こわい、こわいんだ
目の前の景色が全部うそなんじゃないかって
本当にただしいことなんてないんじゃないかって
缶のまわりを一周ぐるっとメジャーではかったら、長さが出るけど
でもそれは最初の場所で、本当はそこから動いていないのとおんなじだ
世界が缶で、常識がメジャー
はかるものも基準も両方まがっているのなら
それはまがっているって言わないよ
わかってる、わかってるんだ
戯言だってわかってる
誰のためにもならないってわかってる
嘘だってわかってる
不都合だってわかってる
正しくないってわかってる
わかってないってこともわかってる
僕より苦しいひとがいるってわかってる
いつか正されるってわかってる
価値がないってわかってる
見向きもされないってわかってる
時間のむだだってわかってる
わかってる、わかってるんだ
僕がいちばんわかってる
だからもう放っておいてくれ
それでも思わずにいられない
それだけでしかもう僕が僕だとたしかめられない気がする
この世界が、僕はこわいんだ