小さい頃から、争いが嫌いだった
怒られるのが特に嫌で、喧嘩になりかけるといつも自分から折れた
登下校が一緒の幼馴染二人は自分の意見を言う子達だったから、二人が喧嘩したらよく板挟みになって気まずかった
頑固で融通もきかず、ルール通りに動かないと気が済まなかった
気にしいだったから、怒られないように、嫌われないように、周りを気にしながら生きてきた
小学五年で出来た友達はハキハキした子で、自分の意見を押し通す子だった
その友達の側にいるだけで、よく争いに巻き込まれていた気がする
それでもその子は、私に優しくしてくれた友達だった
ある時、その子にクラスの子が私の事を悪く言っていたと聞いた
私の悪口を言っていたと
そのクラスの子とは仲良くすらなく、ましてや話したことすらなかった
精神的にドン底まで落ちていて、学校にすら行けなくなって、延々と感じる絶望やら自責などの鬱状態がほんの少しマシになっていた時だった
なんでそんな話になったのかは忘れてしまった
私は、そっか、としか言えなかった
家に帰ってから、だんだんつらくなってきた
なんで友達はこれを私に言ったんだろう
もしかして友達も、私のことをそう思ってるんじゃないか
怖いくて恐ろしくて、泣きたくなった
それからも学校に行けなくて、その友達以外からも励ましのメールが来た
その度に行けない自分が嫌いになって、ごめんねとしか返せない自分が憎くなった
不確定な未来ではっきりと言ったら約束を破る事になると怖がって、自分に保険をかける悪癖を直そうともせず、あやふやな言葉を返しては死にたくなった
ある時、その友達から来たメールに、私の失態が書かれていた
私があんなにも休むから、友達と同じクラスに私をわざと入れていたらしい
委員会活動さえも
それが、とても迷惑だと
きっと、先生も善意だった
学校に来れない子を、出来るだけ来れる環境にしようと必死だったのだろう
私は、なんて事をしてしまったんだろうと思った
私のあやふやな返事のせいで、彼女の3年間を潰してしまったことが苦しかった
そして何より、迷惑という言葉がつらかった
ボロボロ泣いて、私が頼んだわけじゃないとか反論しようとして
結局、ごめんとしかかけなかった
存在ごとすべて消えてしまいたかった
あれからずっと、毎日波に襲われる
イライラして、苦しくなって、泣きたくなって、酷い時は手首や腕に爪を立てて、噛んで
そうすると、少し楽になる
救いが欲しかったのか、罰が欲しかったのかわからないけど
その行為は、今の私の安定剤だ
私の、幸せだ
あなたは言ってスッキリして忘れてしまう子だろうから
きっと書いても届きやしないだろうけど
あの時はごめんね
私が弱いせいで、臆病でずるかったせいで、あなたの3年間を踏みにじってしまった
私がはっきり言える子ならよかった
それだったらきっと、あなたが苦痛に感じることもなかったろうに
本当にごめんなさい
ななしさん
待て待て
自分を責めすぎだよ
すごく苦しい時期だったんだね
その友達からの言葉も傷つくものばかりだね
周りから嫌われる、その子から嫌われるというのがすごく怖かったのかな
臆病でもないし弱くもないよ
相手のことたくさんたくさん考えたんだよね
優しい人だよ、あなたは
その友達も本人に迷惑とか悪口とか話すのは流石にひどいと思う
クラスの子の悪口は本当かわからないし、迷惑というのも貴方のせいじゃないよね
あなたのせいでその子の3年間を潰したというのがよくわからない
同じクラス同じ委員になったこと?
それでその子の3年間が潰れるなんてありえない
仮に彼女が楽しくない3年間だったとしても貴方のせいじゃないでしょ
なんでも自分のせいにしすぎ抱え込みすぎだよ
真面目なんだね
100パーセント相手の気持ち害さない生き方なんて無理だよ
他人の意に沿わなくたって自分を守っていいのよ
どうして他人のためにあなたがそこまで苦しまなきゃいけないの?