記憶に焼きついた様々な香りがことあるごとにフラッシュバックをおこす
1回目で壮絶な色に塗られた季節のおかげで2回目の季節を怯えて過ごすんだろう
春
きらきらで優しい期待の色をしていた。この心地はいずれなくなってしまうとずっと感じていた。「幸せを瓶詰めにしたい」と呟いた。
夏
初夏の夜は少し肌寒かった。今のわたしはあの日から始まってしまった。ぬるい雨に打たれた。あの人がわたしを教えてくれた。あの人がわたしの存在を許してくれた。傷付いたわたしを抱きしめて傷付けた。夏の夜空は濁った紺。
秋
何度か夢を見た。夢は覚める。それだけの話。同じ夢は二度とは見られないし覚めない夢はない。何故、誰が悪い、そんなのもない。ただそれなら全てが夢だったらよかったのにと思った。冬がすぐに訪れる。血に染まっても幸せを願う者でありたい。
冬
上手く息ができた日は1日たりともない。1日くらいはあっただろうか。涙は流れてこないけど心が泣き止まない。「嫌だ」「幸せになりたい」「なんでわたしは」「苦しい」「死にたい」ずっとずっと声を張り上げて叫んでしょうがない。