烏羽
無力感をヒシヒシと感じていた事もあった。
けど、何もない、何もできない、それで止まれば、何もないままだった。
二十代前半で、対して出来る事もない、何かやりたい気持ちはあっても、このご時世、この学歴で大して選べる職もなく、何かずば抜けたものでも、ルックスでも、何の特技や誇れるものがある訳でもない。
趣味はあっても、大した生産性もなく、将来性もなく、活かせる未来も見えず。
家族や友がいても、頼れる人も信じられるものもない。
今も俺はそのままだ。
ただ、小瓶主さんと違う所は、生きるのに向いていなくとも、それはあくまで現状の事だと認識している部分か。
主さんには仕事が出来る能力があるじゃないか。
…とまあ、下など見れば幾らでも比べられるだろうさ。
主さんの何もなさは主さんのもので、俺のもそうだ、俺だけの何もなさだ。
違うものは違う、理解の架け橋にはなれど、理解そのものにはなりゃあしない。
だが、何もないなりに、多少解るかもしれないなりには、主さんを励ましたい気持ちはあるのよ。
現実的に顔に関しての事を言うと、確かに顔も見られる。
俺もコンビニのバイトにあからさまにひどい顔で見られたもんだ。
だが、そんなあからさまに顔で判断してそうな奴に、寄り付こうと思う奴なんてなかなかいない。
あったとしても、同じように顔だけで判断するような奴か、懐の広い奴が、たまたま友達だったとか、そんなもんだろう。
人と関わっていく内に解る、あるいはもうある程度知ってるかもしらんが、仕事だのなんだの、結局は人間が群れて成し遂げる事だ、人間関係が大きく関わる。
クソみたいな性格のやつはあからさまに問題の原因になることの方が多い。
そこんところがよく解ってる会社も、恐らくあるだろう。
小瓶主さんと同じ立場で、顔だけで、性格もうんこみたいな奴がいるとしたら、そういう会社や人は間違いなく主さんと関わりたいと思うだろうさ。
少なくとも、顔の不平等さが解ってるんだったら、落ちるとこまで落ちてはいねえよ。
楽しめる趣味、多少なりとも誇れる特技、面白くて興味のある分野。
熱量のある何か、大切な人、親友。
できねえんじゃなくて、欲しいんじゃねえんか?
そうありたいんじゃないんか?やってみたい、それなりに、何かしら充実したいんじゃないんか?
俺もそうだが、本当に救えねえよなあ、無能だなんだって、自分の能力をないもののように扱っちまってさ。
何もない、何もできないんだったら、どうして俺なんかに文章が伝わってくるんだよ。
俺なんか二十歳で死ぬ計画まで立てて、自殺未遂まで行ったのに、大した怪我もなくのうのうと生きてやがる。
情けねえと思わんか?
そんな年上でもない、大した人生経験がある訳でもない、どこぞのよく解らん奴に励まされてよ。
生きて欲しい、死んで欲しいなんて、そんな事は言わん。
お前さんには、本当はやりたい事、イメージが、沢山あるんじゃないんか?
死んでそれが出来るかね。
このままの状態を続けて、やりたい事が少しでも出来ると思うかね。
辛い事があったのかも知らんし、少しずつ抱えて来たものが出て来たんかは解らん。
ただ、そういうストレスが溜まりに溜まって、自律神経系のバランスが崩れたのか、夜眠れなくなったり無気力感、だるさが続く、疲れてるってんなら、風呂入ってしっかり休め。
朝、太陽の光を3分でいいから浴びて、朝じゃなくても起きたら顔と手をちょっと冷たいくらいの水で洗え。
起きたら三食食えずとも、せめて、最悪でも朝飯だけはちゃんと食え。冬は乾燥しやすいし、石油ストーブ使ってないなら尚の事、水分と適度な塩分も摂れ。
デスクワークだと姿勢固まるから、気付いた時に肩と首を回して軽いストレッチをしろ。
あと、ちょっと数回飛び跳ねるとか、ラジオ体操的な事も気が向いた範囲でしろ。
それらには自律神経系のバランスを整える等の意味がある。
勇気かどうかは知らんが、それによって元気が湧きやすくなる可能性はある。
自分自身の足元見ろよ。
やりたい事が見えてるのかどうかも知らんし、何かと比べているのか、何かを望んでいるのか詳しくは解らんが、自分が出来ている事はあるだろ。
遠くて手が届かないのかどうか知らんが、それは、いつか出来る、届く可能性、そこまで行かなくとも、良いとこまで近付ける可能性もあるかもしれん。
だが、自分が今出来る事とは別にして考えるしかないだろう。
何せ、自分が今出来ている事、足元も見てなけりゃ、どこまで出来ていて、どこから出来ていないか、改善点だって大して見つかるものでもないんじゃないか。
で、仕事があって、忙しいのか解らんが、それなりの金はあるだろ?
程度や趣味にもよるが、そこに多少なりとも使えばいいんじゃないか。
趣味なんて後から付いてくるもんだ。
楽しかったり、興味が出たり、それを深めたかったり、上手くいかなくても次こそは、とか次に向かえそうな、出来そうな箇所が見えたら、それらが続ける意志に繋がるだろう。
すぐにやめても良いし、飽きてもいい。
気が向けばまた、再び手を付けてやり始めればいい。
興味がなければやめてもいいし、興味がなくなったけど気になる事があるならまたやればいい。
その繰り返しで、いつのまにか趣味と呼べるようなものは出来る。
だけど、出来てもその趣味をやめる事だってあるだろう。そんな大したものじゃない。
続けるか続けないかなんて気にする意味もない。
あるいは、やめそうになって、折れそうになっても、続けたい、意地になってでも、続けるというのなら、それなりに熱意があると言える趣味なのかもしれんがね。
長い目でみりゃあいい。
特に興味がない事を点々としていても、その中に何かしらの興味を見つけて、それを深めようと思ったり、高じたりして、趣味になる事や、別の趣味に繋がる事もあるかもしれん。
とにかく、今はその無気力感か、疲れか、それが収まるまで、取れる時間の中でゆっくりしてみたらどうだろうか。
それから、やりたい事に関して考えてみてもいいのではないかな。
また、万全なら言うに及ばないが、気が向けば、自分自身の生活習慣を少し見直してみるのも如何か。
食生活においては、脳にいいからと言って甘いお菓子をたくさん摂ると、糖分の過剰摂取から気だるくなりがちになるそうな。
他に、肉ばかりで食物繊維を摂っていないと、腸内環境の乱れからか、人による所もあるが、腹にガスが出来やすくなり、間接的にこれも気だるさに繋がる事がある。
日本人が食べ続け、適応して来たものからして、嫌いでなければ海苔は特にオススメだぞ。
上手く分解して、栄養をよく摂れるようになっているみたいだからな。
もしもここまで読んでくれたのなら、長文失礼。
ありがとう。