大好きな人がいた。
一緒に舞台をやっていた大切な仲間、親友、姉妹の様に仲良しだった。
私は彼女が本当に好きだった。彼女は私を大切にしてくれた。今思えば、ごく普通の社会人の対応だったのかもしれない。けれど、親からの虐待や学校、職場での虐めなど人間扱いされなかった私にとっては、それは、とてもとても優しいと感じられるものだった。
離れて欲しくなかった。私から去らないで欲しかった。
彼女は基本忙しい人だったし、「私よりももっと大切なもの」をたくさん抱えていた。仕事、家族、恋人…
私は彼女を繋ぎ止めるために、自分の不幸をことさらにアピールし、自殺未遂までした。
彼女はそれでも、可能な限り寄り添ってくれていた。
けれど、過剰に依存した私の存在に耐えかね、絶縁宣言をして私から離れて行った。
私はショックを受けて倒れ、2年ほど入退院を繰り返した。
今思えば…
私が彼女に対してしたことは、形を変えた暴力だったのではないかと思う。
彼女が大好きだった。
私が持っていないものを全て持っていた。
何も持たない私はそれがどんなに羨ましかったか…
「私を見捨てるの?こんなにも可哀想な私を見捨てるなんて、酷い!!」と追い詰めた。
彼女は優しい人だから、ギリギリまで耐えて去った。
今さら、和解なんて望めないかもしれないけれど、なんであんなことをしたのかと後悔している。