時々、発作的にあいつのことを思い出す。
これまで経験したことのなかった、なんともどす黒い嫌悪感がわいてくる。
7年も経ったいまだに・・・。
表現のしようがない。
黒いガスのようなものに自分の内側が侵されていくような、内側から腐っていくような。
決して負けるものかと、黒いガスから自分を剥ぎ取るようにして意識を光へ向ける。
世の中は、ぬるま湯で成り立っている面もある。
確かにおかしな理屈はたくさん世の中にあふれかえっているけれど、
それでも人はどこまで人を許せるか、
自らに問いながら生きていくものではないのだろうか。
それが嫌なら、全ての人間関係を断ち切ってひとり山にこもりでもすればよいものを。
あいつは「人間嫌い」を標榜しながら、
常に誰かに寄生して生きている。
ねじまがった正論で他者を侮蔑し、切り捨て、裏切り、
わざと憎しみを買うようなことをしておいて、
そうして実際に憎しみを向けられると、
「ほら、人間なんてその程度だ」と侮蔑する。
自分の「人間嫌い」を正当化せんがための、裏切り行為を繰り返す。繰り返している、今も。
自分自身がやっていることはむちゃくちゃ。
他人には正しさを求めながら、自分は全くそれを行なっていない。
口では立派なことを言う。
だから皆、その知識と考え方に目を丸くして信用してしまう。
妙な説得力と、そして人心をうまく操ることにだけは長けている。
でも、私はその理屈が穴だらけだと知っている。
なぜなら、ずっとすぐ近くで見ていたから。
言っていること、やっていることが全くそぐわないことを。
他者に義務を説きながら、自分自身はなんら義務を果たさない。
ときには他人から搾取すらする。
彼はわかっているんだろうか。
自分は目立ちたくない、えらくなりたいわけじゃない、と言いながら、
本当は、(世界中から憎まれた独裁者のごとく)とんでもない自己顕示欲の塊で、
人の注目を集めたくて仕方がないことに。
でも、素直にそれを認めることができず、そして根幹では自信がないものだから、
裏に回って、弱い立場の人や自分より知識の少ない人間をやりこめて、
「所詮、人間なんてこの程度」と唾吐くように言いすてる。
愛を否定し、共感を否定し、同情すらしない。
というより愛を知らないし、共感そのものを持たないし、したがって同情などできない。
おそらく目の前で私が車に轢かそうになったとしても冷たい目で見ているだけだろう。
そういうやつだ。
そういう人間は本当に存在する。
私のようなHSP体質の人間が絶対に関わってはいけないタイプの人間すなわちサイコパス。
人の心を持たないやつ。
人の心の優しさを持たないやつ。
人を殺す、犯罪をおかす、そういうのとは違うけれど、
関わった人間を間違いなく毒していく悪魔のような人間というのは本当にいる。
おそらく本人に面とむかってそのように告げても、決して罵倒にはならない。
そいつにとっては最上級の褒め言葉にしかならない。
それほどに歪んだ人格と関わってしまって、
あの日を境に私はもう以前の私には戻れなくなってしまった。
私の中にあいつの毒が入り込んでしまった気がする。
それでも私は何があっても口が裂けても決して口にはしない。
あいつのように、「人間が嫌いだ」などとは。