聖夜の夜の爺様が死ぬらしい
私は彼のことを全く知らない
近い場所には住んでいたし、何度も声を聴き
簡単な挨拶や会話をした
それでも私は彼のことを知らない
昔、一緒に囲碁をした気がする
それからは、やけに奇天烈な細身の老人
という認識であった
いつのまにか酷くボケ
いつのまにか施設に入り
母の話に登場する爺様が最近の私の彼に対する知識だ
そして今日死ぬらしい
生きている時でさえ酷い言われ様だった
側から見てもあまり好ましい人生ではなかった
本人がどう思っているかは解りません
死ぬことでさえ「鬱陶しい」と言われる彼は、
きっと不幸だ
せめて泣いてやれ悔やんでやれ惜しんでやれ
死せるものに救いあれ
私の血筋は皆不幸だ
人の悪口を当然のように吐き
自らの愚かさを知らない
互いを互いに、奇人、愚か者だと
理解したようにしている
馬鹿馬鹿しい愚かだ滑稽だ
酷い人間の寄せ集めだ
よくもこんな身内皆不幸
脳たらずで協調性のない酷い言葉と血で繋がっている
私もこの輪の一部に居るのか
絶望に足る
切望します
私の死没せしめる時
どうか、どうか希望がありますように
絶望と不幸のみが保証されたようなこんな人生
生きるのだから
生きるのだからせめてどうか、一片の救いがありますように。
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