おばあちゃんへ
おばあちゃんがそっちに行って、いっぱい時間が流れたね。
私も大人になって、結婚して、子供が二人いるよ。
おばあちゃんに旦那様と、子供達見せたかったな…
御免ね。
あの家にずっといてね、って言われたのに、嫁に行っちゃった。
御免ね。
おばあちゃんがそっちに行った後、受け入れられなくて、その後起こった色んな事がおばあちゃんが死んだせいだと思い込んで、いっぱい憎んだね。
おばあちゃんとおじいちゃん、その頃では珍しい、恋愛結婚だったんだね。
そうだね。
いつも喧嘩しているばかりだったけど、おじいちゃん、おばあちゃんを一年後に迎えに来たもんね。
大好きだったんだね。
おばあちゃんはいつも礼儀に厳しかったね。
挨拶がちゃんと出来ないと怒られたし、
廊下を静かに歩かないと、
ふすまや戸を静かに閉めないと怒られたね。
恥ずかしいって。
誰に対してだったか、おばあちゃんが死んでから知ったよ。
おじいちゃんとおばあちゃんは、私の本当のおじいちゃんとおばあちゃんじゃなかったんだね。
本当のおじいちゃんとおばあちゃんは、おじいちゃんのお兄さん夫婦。
おばあちゃんは子供が産めなかった。
だから、お兄さん夫婦の子供を養子にした。
それが、お父さん。
おばあちゃん、お兄さん夫婦に色々言われたんだね。
お父さんが生まれる前に養子にもらった男の子を死なせたから。
それに、いつか私を本当のおじいちゃんとおばあちゃんに取られるかもしれない、と思っていたんだね。
だから、厳しかったね。
そして、家を出ないでほしいって言っていたんだね。
孫がおばあちゃんを殺した、って事件が起こると、こんなことをしないでね、って抱きしめたね。
いつか、自分が、本当のおばあちゃんじゃないことを私が知った時、追い出すと思った?
本当のおじいちゃんとおばあちゃんに、小さい頃一回だけ会った事があったね。
頑固で子供みたいな…今から思えば父にそっくりな、おじいちゃん。
そんなおじいちゃんを笑いながら支えていた、おばあちゃん。
でも。
知らない、おじいちゃんとおばあちゃん、だったよ。
どんな事情があったって、私にとって、おばあちゃんは、一緒に住んでいた、一緒に時代劇を見た、一緒に昆布茶を飲んだ、一緒におせんべいを食べた、桜の季節に動物園に一緒に行ったおばあちゃんだけだよ。
それを早く言えたら、おばあちゃんは不安にならなかったのにね。
でも。
仕方ないね。
私は、子供だったんだもん。
だからね、おばあちゃん。
もう不安にならないで。
安心して、見守っていて。
おばあちゃんにいっぱい怒られそうだね(笑)
だって。
ドタバタ歩くし。
靴は脱ぎっぱなしだし。
ドアをうるさく閉めるし。
でも。
挨拶だけはちゃんとしているよ。
怪しいか?(笑)
そこで、おじいちゃんと一緒に見守っていて。
いっぱい。
いっぱい。
有難う。