思えば高校受験からそうだった。
勉強は結構できて、県のトップ高に行きたいと思って必死に勉強した。当時は全く身の丈に合ってないレベルだったけど、夏から冬になるまでにものすごく点数上がった。これなら行けると思った。でも落ちた。あと数点だった。
高校に入ってしばらく引きずってたけど、高2の時に絶対ここに行きたいと思えた大学に出会った。でもやっぱりレベルはめちゃくちゃ高いところで、浪人もして必死に目指した。二浪までした。夏の大学別模試ではB判定も出た。これなら行けると思った。でもそれから伸びなくて結局無理だった。2回目の受験失敗。
大学入ってからはコロナもあって家でただひたすらゲームをする毎日だった。将来のことなんて微塵も考えちゃいない。そんなこと言ってるうちに2年目も終わりかけになって…イラストに出会った。
最初は春休みの暇つぶし、そこそこの趣味になればいいやと本当に軽い気持ちで始めたイラスト。ゲームの推しキャラを描く程度のもの。でもそこから自分でも想像していなかったくらいにのめり込んだ。自分のイメージを目に見えるものとして表現する。何時間もかけてひとつのものを作り上げる。自分に合ってるのだと思った。始めて7,8ヶ月経った時には本気で仕事にしたいと思うようになった。
そこからは色々あった。Twitterに投稿したらいきなり3000いいね貰ったり、その後も毎回4桁いいね貰ったり、4月には安いとはいえ個人から有償依頼貰えたり…そんな中で4月、本気でイラストレーターを目指すために大学を1年休学することにした。今思えばあまりに突飛な判断だったと思うが、お陰でイラストは上達できた。
そこから現在。個人の依頼はその後も(クソやっすいけど)貰えて、9月頭にはイラストコンテストにも絵を応募してみた。結果はまだ分からない。本気で賞を取るつもりで描いたけど…どうなるか。
でもそこからだ、問題なのは。この時期になれば大学3年生は就活を意識せざるを得ない。自分は4年生だが休学もあって実質3年生、就職を考えるならそろそろ行動を起こさなければいけない。いくらイラストレーターを目指してきたとはいえ、企業所属のイラストレーターはほぼ不可能だ。独学で2年ほど描いた程度では専門的な絵の教育を受けてきた人達にはかないっこない。ならばフリーランスだが、卒業まで1年半程、実家暮らしを考慮しても2年程でフリーとして独立できるだけの実力になるのか?なる、と思いたいがそんな保証は無い。もしなれなかったら?就活もしてないんだからそのまま半ニートみたいなもんだ。ならば残された道はひとつだけ。イラストとは関係の無い職に就き、イラストは趣味、副業でやるという選択肢だ。
正直、これが正解なんだと思う。でも自分の本能が拒絶する。忙しなく働きながら続けられるの?どうせ途中で「やっぱ趣味でいいや」ってなるんじゃないの?そしてそんな自分を見て失望するんだと。やはり俺は何も達成できないんだと。
そもそも今の自分に就活をする気力がない。なんで働かなければいけないんだろう。自分はイラストレーターになりたいのに、関係ない職についてモチベーションなんて出るわけが無いだろうと思うし、まず就活に対する恐怖心が凄いのだ。休学中で同級生はみなあと半年もせず卒業。自分だけ取り残されている。もうかなりの間家族としか話していない。そんな自分が説明会に出る?インターンに行く?面接を受ける?怖くてたまらない。何もしたくない。働きたくない。死にたい。そんなマイナスの感情に頭が支配される。
あれだけなりたいと思ったイラストレーターでさえ、今は本当になりたいのかと疑ってしまっている。何も分からないのだ。なりたいのかなりたくないのか。何をしたいのか。何をすればいいのか。なぜ働かなくてはいけないのか。なぜ生きなくてはいけないのか。結局また、自分は目標を達成できないのか。夢を叶えられないのか。何も成し遂げられない負け組なのか。
泣きながら「就活 死にたい したくない」などと検索して、たまたまこの宛名のないメールというサービスに出会った。これが掲載されるのは1ヶ月近く後になるそうだが、その頃には俺は何をしているのだろう。この世にいるのかどうかも分からないが、もしこれを見た方から何か励ましの返信でも貰えていたとしたら、少しは自分の心も楽になれるのかもしれない。
189281通目の宛名のないメール
小瓶主の返事あり
お返事が届いています
名前のない小瓶
(小瓶主)
もうこの小瓶を流したのも10ヶ月くらい前だったか。
久しぶりに見に来て、こんなに心優しい返事が付いているとは思わなかった。
色々な不安が積み重なって、どうしようもなく死にたくなってまたここを見に来た。
絵は本当に上手くなった。依頼も貰えてる。でも、どこまでいっても不安が拭えない。
傑作だと思って投稿した絵は伸びず、周りの絵師はどんどん数字を伸ばして、上達していく。色々な人を見る度に、自分はなんて下手くそなんだ、この程度で調子に乗っているのかと自分が嫌になる。
嫉妬が止まらない。なぜあんな奴が伸びるのだ、なぜ自分はダメなのだと。他人の絵を純粋に賞賛できる人は本当に凄い。自分はどこまでいっても嫉妬を消し去ることが出来ない。汚い心を捨てることが出来ない。
嫉妬を前向きな力に変えられるならいい。でも自分はどうしてもマイナスな方向に引っ張られる。自分はこんなだからダメなんだと、凄まじい自己嫌悪に苛まれる。
遺書を書いて、首を吊るための用意もして、実際に首に縄をかけた。死ねなかった。とんだ臆病者だ。
久しぶりにここを見に来て、返事を見て、なんだか訳も分からないくらい泣いた。なんで泣いているのかも分からない。でも、もう少し頑張ってみてもいいかなと思えた。名前も知らない誰かさん、ありがとう。
ななしさん
考え過ぎると視界が悪くなることもある。
何かを成し遂げられた人だけが勝ち組でもない。
軽い気持ちで始めたイラストがあなたを形成してくれたように、マイナスイメージしかない就活から新たな出会いがあるかもしれない。
今は何をなさっていますか?
ななしさん
アドバイスになるかわからないですがお返事させていただきます。
私は大学時代演劇サークルに所属しておりそこで演劇にのめり込み卒業後劇団員として活動しました。(コロナ禍で辞めました)
今は会社員として働いていますが、演劇をしていた事の後悔はありませんし、当時は想像できなかった会社員生活もなかなか楽しいものです。
結局は投稿者さんが思うように動くべきだと思うし、それで気に病むことは無いと思います。
どのような決断をされるかはわかりませんが以前夢を追っていた人間として応援します。
ななしさん
寒くなってきましたね。
その後いかがお過ごしですか?
色々と葛藤を長い間抱えて生きてこられたのですね
。お疲れ様でした。
それにしても、あなたはとても志高く努力もされる真面目な方だと感心しました。私は常に安全圏内の範囲で決めてきたので。
今、人生のスタートに向けて、どこに起点を置くか迷っていらっしゃるんですね。生活の事もあるからまっしぐらに進めない現状もあるようで。色々な考え方がありますが、夢に進むのも覚悟は必要だと思います。だけど、覚悟だけではどうにもならない事もあると思います。イラストレーターに主軸を置いて生きていくのなら、その夢を支えるという形でアルバイトをしたり、就職にこだわらずとも社会保険をかけれたりもしますので、柔軟に考えても良いかと思います。
今までは思うようにならなかったかもしれませんがこれからもそうだと決定はされてません。これを機に自分の弱さや強みを理解しておくと、どう努力するのが一番自分に合っているのかわかってくると思います。色々なイラストレーターさんのお話をネット等で読んでみたりするのも参考になると思います
。色々悩ましくお辛いかと思いますが、今は情報を増やしながら考えていくと良いかもしれません。きっと、視野も広がって可能性も見えてくると思います。
「好き」や夢中になれるものと出会えるなんて、とても羨ましいです。どうか初めて触れた時の好奇心や感動、高揚感を大切に忘れないで下さい。
ななしさん
あなたは、すごい努力家で、情熱家なんですね。
受からなくても、頭の良い人に変わりない。
絵の才能がある人に変わりない。
人って、人からの評価や、こうあらねばという思いがあるから、せっかくの才能が霞んで来たりする。
すっっっごく素晴らしい人でも、埋もれている人もいる。
逆に悪い人がいい思いしてたりもする。
でも、すっっっごく素晴らしい才能の人が、評価を気にせず自分の為に楽しんでやってる時、とっても光り輝いて見えるものです。
あなたにも、才能を埋もれないように大事にして欲しいな。
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。