(前回の小瓶を読んでから、この小瓶を読むのをおすすめします)
土日がやってきた。この2日間で犠牲者が出るかどうかで真相は見えて来る。これ以上自分の手で誰かを殺めたくはない。甍は勘付いてはいたが、なるべく学園の生徒や先生のことは忘れるように努めた。
週末明け、新たな犠牲者の報告だ。3年F組、狗川 魅來(いぬかわ みこ)だ。まさか同学年までとは。そんな話は聞いていない。金曜日の放課後、吹奏楽部の練習中、突然倒れたらしい。おかしなことに、急に泡を吹き、酷く痙攣していたようだ。元々持病があったようだが、兆候も無く、静かに倒れたらしい。その後、病院へ救急搬送。手術を試みるも、日を跨いで深夜半、敢え無く息を引き取った。
ただ、週末は2日あるはずだが、死者は1人。それも、金曜日の分だけである(このようなもの言いは不謹慎だが)。さては、僕が学園に来ているときだけ、犠牲者が現れるのか…?こんな馬鹿げた、いや、理不尽な話はあるか。もう、どうすればいいってんだ。
冷たい視線と野次の輩の重圧に押し潰されそうになった。「いっそ、明日休むか。」
とても親に話せる内容では無いし、話したとて信用を失ってしまいそうだ。ただ、親御さんの間では必然と話題になっている。さらにはメディアの押し掛けに校長が汗を流している。朝のニュースでも大々的に取り上げられていた次第だ。土日の間にネットで調べたのだが、日曜日の時点で、既に様々な憶測が飛び交っていて、もう収拾が付かない状態だ。生活はどうなってしまうのだろうか。
(残り641名)
〜第一幕〜 弔いの日常 完